haiirosan's diary

散文とか

太陽がマンホールに変換され、カステラ笑う

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溶けゆくカステラ、琥珀砂糖のエレジー。
皿上の輪廻に机上のノートは気が触れて、君が持つティーカップの痙攣も永遠に収まらない。
紅茶に揺れるカモミール、ライムピールが孤島に追放されたことすら忘れて。
虚偽のフレーバー、クレーマーの腐乱死体、フランス上空から零れ落ちたマーマレード、収拾のつかない三時のおやつ。文明開化に散切り頭がすき焼き鍋に溺死すれば、浮き上がるのは火車のごとき車麩の水死体だった。
そこで文明堂は独房で挙手して、こう言い放った。「お菓子よりもニッパーを持っていきたいのですが」と。
これには豪雨もしゃっくりが止まらない。降水確率百パーセントの三連単、ここで切り裂きジャックを解き放てば、君の絵筆が刻んだ茜も、君のナイフが描いた動脈血も、全ては濁った水に流されてゆくはずさ。そう、何事も無かったかのように狂った朝日が昇るように。鉛の塊が時と時々人を切り裂くように。

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しかし、私の記憶を辿れば、どうやら迷宮入りになってしまったのは私たちの心のようだった。
顔のない生者の行進、右手右足上がる左手左足の行方は。「僕の私のカステラを返せ!」と嘆く様を滑稽に真似れば、私は午前6時のマンホールに首を飛ばされてしまう。ギロチンも絞首刑も忘れた健忘症の街で。
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落葉が死体遺棄を隠す無風の海辺

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海辺を歩いているような気がした。すれ違う風船のような水死体、トマトのように膨れ上がった顔の縊死体。
トマト缶に内臓入れた気分は?
風船に硫酸を仕込んで子供に渡す心象は?
海抜0米で浮き輪にすがるのは誰だ?
質問責めの盲目のピエロが振りかざすボウリングピン、私はボールを探すために車道へと旅立ったが、そこには二人の少女がなくした首を探していた。
ドアの無いセダン、鏡の無いタクシー、寝台の無い救急車、この世界は無いものに満ちているから、僕らはゲームセットまでガーターを繰り返す。

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国道スロープを走り去る車はどれも赤い血を流していて、私の青いペンキによるゲリラ戦は全く意味をなさなかった。
柱に激突する雨の色が狂って、星条旗に酔いしれる人が曇天のモザイクに溺れる。
マングローブの深緑、君の眼は君の色をしていると君は言っていたけれど、水鏡に映る君は誰だ?
巻き付けるダイナマイト、不発の調べに彼女らはスパンコールを送ることなく、バドワイザー缶の朱をナイフで刻みつづけている。
沈没するボートに穴を空けたのは誰だ、沈澱する海底に青酸を混ぜたのは、浸水する水夫の臓器を空っぽにしたのは。
私は探偵気取りのティーンの気分で推理を始めたが、全員首もなく名もない肉塊だったので、唯一言「Meat is Murder」とだけ呟いて飛び降りた。

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カウントダウン

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眠りの中、それとも現の中。それともな現は最悪の最悪が重なる七、私が狂っているからかもしれないが、レストランで供される水はカップ酒に見える。私は他人がいるところで食事はしたくないから極力レストランには行かないけれど。
それで逃れられない7段の跳び箱の隙間からうっすら視える濁った二つの目。3つ数えたアンタはダガーナイフで神を殺す。僕らはその瞬間視線に視姦されるような気がしたから僕だけが僕を殺した。そしたら、何故かは分からないが皆が笑っていたから、僕は着ていたシャツのボタンを一つまた一つとゆったりと淫らに外していった。
「ボタンって地雷みたいな形をしているね」
ピアノ線が張られた境界線の彼方から、首の無い少女がそう嘯いた気がした。けれど、僕はただ、このシャツに刻まれた椰子の実は焼夷弾だから僕を自殺か他殺か判らなくしてくれる甘美さに酔いしれているだけだ。そう、パイナップルが罪の味を覚えるように、桜が溺死することに陶酔するように。
エルパソ・ドライブ、墜落しかしない小型ジェットの堕落。泪橋をハイウェイに見立てるセドリックの狂気。夏に飛び出せば全部終わりなのに、夏にさらけ出せば皆腐乱死体になっちまうのに。
24hのドライブスルーから脱け出せたものは少ないと、交差点に立ち尽くす老人がのたまう。氷の消えたコーラは行方不明だし、ピクルスとケチャップ、それにマスタードを混ぜれば死体の跡みたいだって。
ハンバーガー・ロールオーバー、深淵の麻を求める騎士団の行進曲はいつか葬送曲へと変調し、彼ら或いは彼女らは艶やかにそのシャツのボタンを123456と外してゆくが、そんな白昼のストリップショーに興味を抱く者は誰一人として存在しなかった。
誰か数字を刻むのか?いや、誰の時計も止まったまま狂ったまま涎を垂らす。犬みたいに犬みたいに犬みたいに犬みたいに犬みたいに僕の眼球を撮影しようとする。それでも、何も無い世界の終わりに僕の死体は意味もなく、夕暮れが静かに圧し潰してくれたから、彼は最後だけは幸せだった。

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のび太「どざえも~ん、ボク腕組み系ラーメン屋になりたいよぅ~」

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「しようがないなァ、のび太くんはァァァァァ」
どざえもんは自らが更に肥大かするのも厭わず、ポケットビスケッツからブツを取り出した。
「ファイッ! メリケンサック~」
彼がポケットから放り出したのは近未来でも秘密でもない、よくある関東連合vsフィッシャーマンズパイで用いられる木製のトロイの木馬だった。
「どざえも~ん、これじゃ型が旧すぎてVistaと7にしか通用しないよぅ」
のび太がどら焼きを冷凍(したままの)つけ麺に浸しながらそうごちる。
あつもりだぁ!?ウチはねぇ、そういうのやっていないんですよと新宿歌舞伎町の黒服が喚くような喚きメキメキメキシコルスキードストエフスキーキエフスリーエフもファミリーに取り込まれてサンクスサンクス。
チャーシューっていう響きが中華的
チャーハンはハンソロみたいなモンゴリアン・チョップ
肉まん解体、キン肉マン暴行、マンハントが趣味です!
と、自己啓発サークルでおっぱいやおっぱいやパラノイア乾杯やなんてスクランブル交差点で週三回は叫んでいたからこんな最悪も最悪な人生を送っているんかなと思うけれど、いざ自殺する時に何の躊躇いもなく出来そうだから、その点に於いては幸福かもしれない。大体人間なんていつ死ぬか分からないし、それを早めるかナニするかくらい豚みてぇな俺にだって決める権利くらいあるだろ、こんな豚小屋の豚が闊歩するアホ面のアホが無駄にうるせぇ世界で。
さっきっからバカ笑いを続けるどざえもんは溢れるコンビニ系スーパードライの泡を必死に抑えながら小尿を失禁していた。小用があると言って如才なく立ち去ろうとした僕。その刹那、のび太がドヤの三重顔で叫び始める。
「あら、あっあっあー!! どざえもん漏らしているゥウフフ、ミーちゃんに言ったら、どんな顔するだろうねぇ~ウフフ」
いや、俺どざえもんじゃねえから。
僕はそう言うや否やのび太を殴打し始める。
ぶっ飛ぶ眼鏡
ぶっ飛ばす環七
脂飛ばすインスパイア
あばら屋曝すエンパイア
賭博屋明かすアンパイア
やがてボコボコボコ、と泡が立ってきたので、寸胴に香味野菜をいれる。
おお、心の友よ貴様の追悼は俺のリサイタルで必ずやるかなアッーアッーアーッ!!!
とかなんとか云いつつ、彼の商店はトカレフを卸すことで必死。
こめかみすら喰う俺ら、脳は90s人食いのグールグルグル(@_@)
「ママー!お腹空いたよぅ!」
そう叫べば、出てきたのはどざえもんのケツ割り豚足一キロとまだ爪を切っていないモミジだったので、僕はツインピークスに欲情を続ける父母の横で、一心不乱に爪切りを動かしていた。

Cluster Amaryllis

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残暑の出血が這い廻る深碧。
ハーメルンの笛吹が引き連れる餓鬼がマネキンに変換され、銀座三丁目の硝子の向こうではストリップショーが朝から朝まで行われていると。
猛獣を飼うような鉄格子に閉ざされた庭園。
僕らは血を流しながら、死を流しながら、その南京錠を抉じ開けようとする。
麦わら帽子の7歳、仮名で赦された季節は過ぎたようで過ぎないことに苛立ちと殺意を隠せないのは、彼のシェパードのみならず、血を求めて無為に飛び回る蚊も然りだって。
ピッキング、コッキング、神経みたいなストッキングの伝線の先の先の白く濁ったミルク目を抉れば黒、碁盤のような人生をひっくり返しても二色。モノクロTVショウのOPの最中にマーブルカラーを望めば、其処にあるのは血塗れの刺殺体。

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「此処では蒼白の壊死は許されない」
私の後をつける暗い暗い影が嘯いた言葉。
トイカメラで首吊りを試みたことのある少女も、スマートフォンの発火を夢見ている少年も、血管や心臓を曝けだした曼珠沙華も、紅く赤く朱くその血を滴らせているのだから、と。
触れれば私の皮膚に刻まれる死の刻印、倒れ臥しても尚、シャッターとフラッシュの犠牲になる彼岸花。欲望や人形との同伴を求められ続けた彼女らは、その色を純潔なまま、綺麗なままで冥界にて燃え尽きたことができたのだろうか。

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Cluster Amaryllisの黄泉路は永く永く、再び訪れる神の無い月を待ち焦がれている。

3 Summer Time Blues

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https://youtu.be/b0p9GmALDF8

鉄塔の首吊りを傍観する蒼
斜陽の夏日に切り裂かれたスカーフ
水の無いプール、水浸しのプールサイド
青い酔い 網膜に映る世界は淡く移ろう
発泡する空 350 500 僕も君も酔睡
翌朝 麦水 香料水 水槽の水死体
溺れた君 商品価値をすり抜けた君
1ぬけ 二抜け 誰もいなくなったかくれんぼ
蹴られた缶が泳ぐ空
空っぽブルース 鈍色コントラスト
そして、ひしゃげた君は霊柩車に轢かれてしまう

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夕暮れ、雨にうたれ走るライダース
パノラマと化す街並み
乱反射する蛍のような街灯
終わらないジェットセット・ラジオ
始まらないパーティー
より深い藍を求めて
曲がり過ぎたスライダー
彼は虚空を切り裂き、行方不明になった
キャッチャーの死
アンパイアの無関心
左廻りの輪廻 右廻りの安寧
気の触れた針時計
幽霊船の羅針盤
左利きの青い瞳は、いつもこの世界を右手から零れ落としていた。

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漂う脾臓は3つ数える間に消えちまったから、

世界の終わりと蒼い春

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https://youtu.be/5fk9bxujfPE

四月の青が まひるに溶ける
揺らめく空と 虚ろな日々よ
海辺は赤く 夕暮れの焼死体
終わる世界と 消えゆく色彩

水槽、金魚のレプリカが浮かぶ
翡翠色、アルビノ、橙色、茜色
バッテリーゼロのスマートフォン
写される君のような僕のような 誰か
黒いドアが開かれ 行方不明者の仲間入り
手招きする少女 蒼白な灯籠
早すぎる埋葬 それとも 遅すぎた埋葬

※飛行機雲が刹那を告げる
スライドするエンドロール
世界の終わり 見上げた空
それは青く 美し過ぎて
僕は独り 立ち尽くして
消えることすら 忘れてしまう

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鴉の群れが 群青に染まる
蒼い卯月と 過ぎ去る日々よ
東京は紅く 夕焼けに変死体
騒ぐ世界と 消えゆく心

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