haiirosan's diary

散文とか

画鋲雨と砂漠の壊死

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画鋲雨に刻まれる匿名の吸い殻
消え去る青い炎に
誰もが喝采を浴びせる
行方不明のネオンライト
血塗れのレインコート
渇ききった未来すら溺れ死んで
意味の無い傘を永延とさす君は
暗い太陽を黙殺する
「それとも、曇天の救済」
崩落した教会に刻まれた雨痕
十字架を愛撫する黒衣
突き刺された傘の色は終わりの啓示
血塗れのシートで眠るのは
血塗れのシートで親指を貪るのは
血塗れのレインコートを脱ぐのは
艶やかな、或いは無残な死の憧憬を
鈍色の車輪が刻む夢を――

破綻への凱歌に啓示の詞が刻まれる。秋風の蜩は壊死した人体模型、道徳を切り返すカッターナイフが最期の林檎を囓るとき。
大罪の選択肢
楽園はビルディングの深層世界にあまりにも溺れていた。砕け散る硝子、睡蓮の救難信号、崩れ去る全ては無言の憎悪を差しだすから、私はもう__
虚ろなのは始まりからだった
座標を見失ったまま、裸足で歩く砂漠は血に染まり、左眼(だけに)流れ込む砂は許し難い痛みと――
9%,9%で構成された方程式
数字で充たされた血管
内臓らしき不定形が口から滴る
通りすがる修道女は私を嘲る
私はワタシを打擲する
車道には死が遊泳して

夏の雨はいつも残酷だから、

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雨の通続音がラジオノイズに溶ける
最期の子守唄がサイレンに変換されても尚
水灰色の旋律は止むことなく
錆びついた人魚の叫び
匿名の少女がナイフを握り締めた時
街の柔らかなネオンが幽かに揺らいだ――
……楕円の楽園、花火と隠匿
色彩罪はモノクロームのトローチに溶けて、7月は霜柱に貫かれる
冷めたアイスティーの矛盾
冷めたアイスコーヒーの青
冷めたアイススケートの赤
__滴る血すら意味を成さないのに
夏、夏はいつも残酷だ
見つからないサンダル
溶けるだけの氷
首吊りのクーラー
紅が永遠とうな垂れて
海面に蒼の救済は無い
蝉の死骸が灯台で揺れる
蛍の明滅に湿気た0.3/3mm
最期の紫煙が消えたとき
花火の嘆きは喜劇へと――
やがて、炎は冷たい笑みに掻き消された
発見された足首
ドライアイスの偽装熱
サーカスの猟奇殺人
未だうな垂れたままの太陽
水面に浮かぶ彼岸花の青
早過ぎた埋葬
血に濡れたウエディングドレス
無人の結婚式と赤いピアノ線
降りしきる雨、
降りしきる雨が
色彩を水葬へと導く

空白のプール、鬼門と不協和音に__

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緩やかな業火に影絵が溺れる
輪郭すら喪った「誰そ彼」に
私は赤い靴を求めて彷徨う
裸足の熱傷
青い砂漠
淡い帳
葬送


音色がイロを喪う
音がワタシノ意識から
剥離する
鼓膜の楽園?
網膜の獄炎?
「鬼門をくぐり抜けたから__」
シームレス
シームレス
冤罪少女は水死体のまま、空白のプールの中でそう囁いた。
指先の色だけが、アスファルト
しがみついては崩れ
しがみついては崩れ
淡い業火と劈くような悲鳴、哄笑。
歩道橋にて、血溜まりの紫陽花に焼かれる彼には、誰一人として見向きもしないのに。
貴女の包丁と返り血
彼の傷痕から滲みる「無」
逆さま+-%はざまさ かしまレイコノロイハとけないJPOP3:00JUNKFUCKシロップ入りスターバックスデトックス
「祈り、愛、政治、宗教、淫らな死」
俺らは此処で何を燃やせばいいのか?

裸体の美術館
僕らは死体のような目
硝子の浮遊
死、死体を叫ぶな!
批評家は不協和音を奏でる
欠損の×弦
空白の座標に
私は(無)しかないから、
――貴女は高らかな叫び
穴の空いたベッド
汚れなきウェディングドレス
血、血、敗血の悲鳴
水色と記録
不協和音の鉄塔
影色の彼女の首を轢断したのは
傘に憑かれた裸足の少女だった
破れたノート
錆びた鉈
血を流すピン留め写真と記憶
止まない雨が隠滅する色彩に、君はいつまでも壊れたソプラノを捧げて__

猫の海で「牛の首」の話を――

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墜落したブラックボックスだけが、微かな産声をあげた。
0ばかりが刻まれる画面に、少女はリキュールを突きつける。
水色の海、深紅の空、翡翠の日曜日
イロに憑かれた月曜日に、彼或いは彼女が絶望の鈍色を選ぶことを誰が――
そう、「猫の海で(牛の首)の話をしよう」
殺戮の神はそう呟いたけれど、此処には全てが消失した形跡しか残っていなかった。
不在票が齎した怪異を、彼女らは如何に弁護するのか?
破られたF.K『判決』の最終頁、彼の心を塗り潰したのは、途方も無く空虚なボールペンの傷痕だった。
緩やかな死と指先の敗血症、音階は脆くも崩れ、テトリスは永延とブラックアウトしたままだ。
嘆きの植木鉢に供えられたウォッカの腐敗が告げる晴天に、蜃気楼は唯、自動筆記を繰り返し続け、
風切り羽が花火と共に墜落してゆく。遊覧船に佇む48の亡霊の拍手喝采に、錆びついたシャンデリアだけが救難信号を発信する。
明滅する光、色彩を剥奪したその左手に、そっとメスをいれるのは__
見えない水が穏やかに囁く「肥満な死」は、きっと自らのことでは無いと、這い回るしかない廻廊の廻間で私の眼は渇ききっていて。
酸素を失うだけの葬列で、いつまで君は造花の花束を揺らし続けるのか?

Sand Graffiti

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蝙蝠の円卓に夕暮れは瓦解する
銀杯に這い回る偽りの夜
呼吸すら忘れて
色彩すら渇いて
飛び去る闇夜 墜落する光
血が滴るウエディング・ドレス
火葬場には少女たちの笑みしかない
灰の偽装と添えられた造花
枯葉の調べ
百年の孤独
空白の歴史
独り、
――正体を喪うだけの街角
消失点の叫びが轟く時
あまりにも静かな炎舞は
貴女の脾臓を喰らい尽くす
黒煉、楷書体への糾弾
キャンバスの悲劇はいつも茜色
取り残された微かな感情は__

砂が描く雨にみとれていた
カーテンの境界線を切り裂くのはいつも
透き通ったビーカーの矛先だから
左手から零れた錠剤も
砂塵へと回帰した刹那に
貴女は錆びたナイフを突きつける
黒猫と葡萄酒
麻の祈りと星空
円転する円転する、廻るだけ
唯、輪廻の果てにあったのは
熔けきらないアイスキャンディだったから。

カナリアのラジオシフター

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終焉を迎える-4,柑橘と藍色殺人の不明瞭に彼方のピエロとボウリング・ピン、轢断偽装死体、嘆きの水瓶で笑うラジオシフター、
香料
轟音呻く高架上に遺された君の赤い靴がそっと忍び寄って――

夕刻の打ち上げ花火に沈む夜空の深度は
夕刻の打ち上げ花火に砕ける夢のカケラの行方は
夕刻の打ち上げ花火に融けるかき氷のイロは__

藍色の空に赤が滲む時、それは終わりの標だと君は嬉々として歌った。
彼方のカナリアは行方不明
街は緩やかに瓦解して
海辺の悲鳴が国境線上に響くとき
エンドロールだけは穏やかに円転していた。

「蒼白の無効」はアスファルトの暁が揺らぐ臨界点で決議された
白骨化した握手の形骸化に
(3)がAIの網膜にちらつく
揚羽蝶の嵐 蛾の誤認
認識を無意識に比喩して
心臓は暗喩へと歩みを進める

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白雷のレンズ、修羅と花

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沙羅双樹と剣山に君の投身は陰画を描く
咲き乱れる修羅の花
骨だけになっても尚、切り刻む火葬場
みずうみに浮かぶ蓮の葉
みずうみに沈む罪の残滓
紅蓮に抱かれた夕刻
針だけが正常な教室
聖杯を奪いあう迷路に
貴女の首は何処に置かれた?
渇いた葬列の造花が枯れる
無人の棺桶と白衣の足音
夕暮れの暗い視線すら
彼らに正体を齎すことなく
血のこびりついた田園
血を纏った死者は誰?
血を零すのは__
――渇いた葬列の造花の歪み
春雷をアイスボックスが愛でる
ザザ雨はスピーカー蹴散らして
焼けつくコンバース
透き通る青い眼
左利きの6弦が宙を舞う
夏の水彩画は寒さを増し
季節外れのコートは色褪せて
彼女のマイクスタンドは折れたまま――
白雷のレンズが藍水に浮かぶ
傍観する影、綿雲焦げて
逆さまの蝶は翼を喪い
かつて空だった海に溺れて
五線譜に刻まれた蒼は
誰かの憂鬱と共に彷徨って彷徨って
――ほら、藍色のトリアージ
緩やかに、静かに這い寄っているから、