haiirosan's diary

散文とか

ブルーキュラソーのグラデーション

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紫陽花溶けた朝焼けに、少年の爪先は幽かな亡霊と怨嗟に剥がされてしまった。
だが、遠い警笛を糾弾する185694の使い魔の醜き悪意に、胃からの出血止まぬ少女が手に取ったレミントン・ショットガン。
3番目のトイレに投げ込まれたヒ素の色で観音開きの入口を塗れば、きっと深く潜れたはずなのに。
揺らぐ硝子の水面にミントリキュール注がれ
人々は清涼な沈黙を選び取る
足音を掻き消すザザ降り雨と青ざめた太陽
傍聴席の無音を目隠しの断頭台が引き裂いて
柔らかな朱の香りが翡翠を蹂躙してゆくから__
ブルーキュラソーのグラデーション
ホットケーキ融解して
殺人の色彩すら隠匿される夜が始まってしまう。
歩みを進める蟻の群れの肌も、艶やかさを湛えて、砂糖菓子の歩道橋が崩れ消えてゆく足下すら、何ひとつ気づきもせず――
暁の神経系、朝靄、彼方の茜色
千切れゆく淡い鳥たちの羽根が、
藍色の彼岸花を枯らしてしまう。
5/3
赤い眼をして立ち尽くす暗いレインコートは
雨があがったことも忘れて――
奇数廻る季節に、素数が救済されることは無いから

C18Fe7N18±C16H10N2O2

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私だけが取り残された砂漠の果て。
炭化した夕日のシャーベット渇いて、蛇が高速道路を這い回ることをオアシス・アイスの色素が描く。
意味を成さない言葉の配列に、地獄の化学式はそれでも毒を織るために、
――鷺は風切り羽すら亡くしたまま
歩みをやめた葬列から飛び立っていった。

「涅槃 プールの底 赤い靴
羽根を無くした蝉の群れを視ている
終末の夏休み 移ろう海辺
水羊羹の変色
8月32日 終わりのはじまり」

夏と硝子の災禍、太陽への賛歌を放棄したのは? 
朽ち果てた信仰、マリアと病室の遺体
遺棄死体にしか生息しない果物みたいな虫の正体、砂のジェンガを繰り返して
手繰り寄せたゲームセットすら、夢見る機械みたい
そう、金網からはぐれた有機体が、視えざるアルファベットを嘆く。
遠く、遠くで放たれた心臓に鼓動は無く
暗い眼をした豚の皿がナイフに錆を滲ませて
心不全のワイングラスにアスピリンを捧げた。
酩酊、心拍数の零下、
眠りには果てがないから
桜には涯てがないから
私はずっと遺骨で拵えた飴を舐めていた。
祭屋台にツルハシ刺さり
簪むくろと金魚鉢、水が腐る
花びらの下は殺しと縊死を浄化する
そう云った猫は波止場の夕刻にそっと消え、
潮騒が沈黙を永延と奏ではじめた。

丑三つ時に寄生する薔薇が色を喪う夢

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チョークで象る死の証明。
彼方で轟く雷鳴を黙殺するかのように、
無言の炎が彼女のドレスのような懺悔を焼き尽くすかに見えた。
灰色の壁から一歩を踏みだした、
その笑顔は酷く歪んだままで
錆びついたナイフが浄化されてしまう音だけが
青い世界に鳴り響く。
磨り硝子に匿名の死と血
丑三つ時に寄生する薔薇が色を喪う夢
夕陽のシャーベット溶けて
彼らの水色の虚偽は裁かれることなく
通続音みたいな四月を迎えてしまった。
――そうして暗い影を濃くしてゆく君は
、一体何処へ歩みを
(奇数のWWW,)
或いは__
無機質なロンギヌスの槍が降り注ぐまでもなく
世界は脆くも瓦解してゆく
空は未だに水色を保ったまま


ちはワイングラスから
健やかに飛び立ってゆくけれど
彼らは審判に無言を貫き通していた
琥珀色の季節は瞬く間に楼閣を編み出し
彼或いは彼女の縊死を求愛する。

夕刻に靴ずれの痕血が滲み路地裏の鬼赤い靴の記憶

ねえ、手招きをする鬼の跫音がキこえる?
握り潰された柑橘類のイロ__色が空を犯す
まるで私の目が罪だと宣告されたかのように
流れゆくカナリアの激突は終末の調べ
蜜柑畑に血を零すことに躊躇いもなく、
君はフェイドアウトを選ぶ。

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カテーテルの姦悪と錆びたベッド

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雨音が硝子を炭化させる。
変拍子の化学式が揺らぐ時、
イロは血を纏い水は意識を喪った。
鴎はいつも死体だけを赦して、
いつかの冬の花火も、
黄昏の電線から飛び立つ鴉も、
夕陽のような記憶と共に薄れてゆく。
薄氷、水中花咲き乱れ、水槽は不審死が彷徨う。
斑金魚のワルツ、
極彩色の屛風の彼方。
花魁の血痕(だけ)を鑑賞する少女の瞳には千枚通しが突き刺さり、豚の血と夏が熟れはじめる。
宴の果て、紅い夕日が永延と照りつけて。
塩素の焦げる蒼だけが微笑を零した。
「切り開かれた血管の海に、誰ひとり溺れる者はいなかった」
そんな証言をした或る祝日は、
断頭台の上で自らの数字を忘却してしまう。
カテーテルの姦悪と錆びたベッド
存在を掻き消された黒板に刻まれた彷徨う
爪 痕
「きみがみつかるのはいつだろう?」
地下室の向こう
血溜まりに囁くのは
__
――
そう、屍のレンズが砕け散って、
やがて散りゆく桜がすべてを終焉へと導く。
裸体の被写体とアイデンティティを亡くしたカメラの悲鳴。
アスファルトはいつも嘆きの鴎が徘徊しているから、誤報の雨音が彼らをドアの彼方に閉じ込めてしまう。
黄昏れ時
時計の針が左眼を抉った刹那、
右側の平行世界は炎だけが時を刻んでいた。
錆びついた破傷風の連鎖に、誰もがシャッターを閉ざしたまま笑っている。
理由の無い昏睡を夢みた人々は、誰かの焼身による訴訟を嘆くこともなく、
二酸化炭素に浸されたベッドに、(きみ)はずっと横たわったままだったんだ。

パラコート滲む造花とハーシュノイズ

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落堕の春に、全ては呼吸器を放棄した。
彷徨う怨嗟、文字列が誘発する偏頭痛。
唯、眼前の終幕と蒼に、断線したイヤホンだけが
揺れて、揺れて、揺れ__
永遠と繰り返されるハーシュノイズ、
鳥たちがサスペンデッド・ゲームに手を振ったとき、あまりにも穏やかな死が笑みを零す。
死の笑み、剥離した紋白蝶、
蜃気楼に沈澱した街の亡霊。
「亡骸に火を放て」
頭のなか、小人のワルツが崩れる時、傀儡の兵士たちは自らの首を吊りながらも、520人を隠滅した。
止まない雨音が硝子を炭化させる。
変拍子の化学式が揺らぐ時、イロは血を纏い水は意識を喪った。
鴎はいつも死体だけを赦して
傀儡と冬の花火も、黄昏の電線から飛び立つ鴉も、夕陽のような記憶と共に薄れてゆく。
そして、いつか暴かれる世界
誰も花束を手向けることなく
記憶は青磁の海に溶けてゆく。
――終焉はあまりにも穏やかに零れた。
コンクリートの草原、機械仕掛けの兎。
空っぽのランチボックスが転がって、眩い蒼白の閃光と静かに俯く、無垢なままの子どもたち。
いつか見た脆い夢は、ブラウン管から染みだす波間の音と色彩に、無慈悲に呑み込まれてしまったけれど――

波間の温い死体、
青ざめた春を幽かな黒猫が嘲笑う。
アスファルトの蜃気楼、視えない十字架を永遠と捜す巡礼者に水は無く。
ただ、パラコート滲む造花を手に取ることを選んでしまう。
フィルムに封入された「手紙」には
静寂と断末魔のクリームソーダが漂って__

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溺れる魚の黄泉路

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返り血の雨が渇ききった砂漠を彩る。
子供の国、届かない磔、釘の造花。
破傷風フォークダンスを踊れば、幼児の切りたての首でキャッチボールを繰り返す父子に警告するのは、いつも死んだ眼をした私生児だと。
そうやって永遠の笑いが止まないうちに、存在しない広場に虚ろな人影が集まってきた気がした。
爽やかな遺体を、限りなく沈痛なシャボン玉が抱擁する。刹那のビードロは少女の呼吸すら忘れて。
溺れる魚の黄泉路を漂う遊覧船に零した、一匙の祈りと撒き餌を踏み潰したのは、紛れもなく白衣たちだったから。
無言の水面に映る白磁の左手、小さな無垢の牙が、その肌にそっと忍び寄る。
白衣の屋上で揺れるのはいつも、叫びに浸された静脈血であったことをささやかな遺体は思いだすのだろうか?
否定も肯定も忘れた風が沙羅沙螺と吹き荒ぶ
「海の匂いは変死体の血の匂いだ」
マネキンに溺れた火葬場でそう嘯く君は、未だに遊覧船に穴を空けることを躊躇ったまま――
――きみはなまえをなくして
炭化する影と化す。
夕暮れはいつも終わりを刻みつければ、
目蓋に捻じ込む悲嘆或いは砂の様な熱波。
此処は砂漠の果ての孤独、私の左手には汗ばむカナビス、右手には私のもの(ではない)血塗れのナイフが佇んで――
死体すらない血溜まりが渇いてゆく景色、それすらもやがて流砂が掻き消してしまう。

イチゴ畑と死体遺棄

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秋の入口を忘れぬまま、いつかの縊死対がワルツを躍る。
茜色の季節、或いは水面の季節。
悴む手に熱と悪寒を帯びて、心肺が零れ落ちて街は紅葉跡のように色づく。
誰にも踏み荒らされない色彩
誰もいない車道をそっと撫でる風音
轢断されたショートケーキから流るるは、儚いまでに煌めき奔る静脈血。砂糖菓子の惨劇、スカートを履いたアドバルーン、いちご畑に零された線香花火が、壊血病に悶える空を食紅で塗り潰す。
不規則に撒き散らされる子供達の嬌声と共に、規則的な父親或いは母親は規則的にブランコにて首を吊っていたけれど、拘束されるのは8mmスナッフの政治犯と台本上の形而下ではぬれてはならないまんこだけではないということがはっかくした。
Beck'sフレーバーのイチゴ畑」
無惨に朽ち果てるのはいつも、かつての夢や純心、ノスタルジアだ。
黄昏時、フェンスにへばりつく透明な抽象物
変容を繰り返す2月は、静寂ばかりが8階から投身を繰り返す。
彼の周囲は口を縫い合わされた機械ばかりだ。
手の震える禁酒法
脆い行進と第3次__
ガソリンの水たまりに火を放てば、跳ねないウサギと開かない棺桶の真実が判るような気がしたから、こうして苺の記憶を廻らせている。