haiirosan's diary

散文とか

In the Blue,Out of Heaven

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 鈍色の十字架が群れる田園、火曜日の淡い赤が青に染まりゆく午後は晴天なり。

 摂氏××℃の世界で、枯れ逝く石楠花達に、白衣と悪意に濡れた僕らは祈ることもしなかった。

 狂う時計、ランチボックスに墜ちる白い羽根、水たまりに浮遊する風船の亡骸。

――広場の鳩が仕掛ける罠に気付く季節、手を繋ぐ子供達の無垢は、右利きか左利きで左右する運命の交錯とピアノ線の工作。

 噴水、SIREN,愛と哀、渇いた季節に耳鳴り

 天使すら無視する、新宿の映画館前で慟哭する純粋な花束

 散らす羽根すら気にすることなく我を忘れ 暮れる葬列の持つ造花に見惚れる

 そしてこれは、鮮やかな紅と桃色に、都市バスのクラクションすら歓喜を演出する安っぽいメロ・ドラマだから。

 僕らの終着駅は錆びた看板が建つ地平線の果てじゃない。

 僕らの終点は草臥れた廃盤が廻る地球儀の果てじゃない。

 造り笑い、嘲るツクツクボウシ、落書きで染めたノート、原っぱで想像した

 「終わりの情景」

 今 灰の中に沈む 鼠色に染まる視界は水の中に蠢く、千のナイフに切り刻まれる

 そして、網膜で踊る赤い糸を視ていた夕暮も、想い出せない蒼い思い出になるのさ。