haiirosan's diary

散文とか

菜園にて火災、朦朧とする意識外で茫洋とする蒼

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 11月某日、私がグラノーラで思考停止した朝。民放は琴の音で「彼ら」の脆い赤い糸は乱れ解れ、そして切れてしまった。所謂、溶解しかけた団塊共や妖怪と化した貴婦人達が、アスファルトの白線上で反復横とびをしながら言う、キれるってことに近い。

 見上げれば、終わりの世界の空はこんなにも蒼く、視線を下げた先にある、僕の痩せ細った白い足首を揉みしだくサザ波はあまりにも透き通っていた。

 何もいない水中、ボクの生きる場所のように酸素すら呼吸困難を起こしているのか?

 裸の0.1、隣の赤頭巾の君は0.2だっけ。兎に角、魚の光り輝く死体すら、中近東の少女のような艶やかな髪を模倣した海藻すら、僕らの濁りきった瞳には映らないの。

 そう、そこにあるのは延焼する油田。炎上する開戦放送。菜園でする絵描きの未遂。

 真っ黒な白鳥 真っ暗な太陽 掬いあげる香菜、香る間にまに 新緑は漆黒へと

 黒く塗れ!黒く塗れ!白線の境界線を失くしちまえば、僕らを阻むものは無い!

 書道教室を開く家庭。窓際に映る斜陽族が書く字は大抵「幸福」「愛」「友情」

 処刑する部屋で聞くのは大抵悲鳴。青マントの処刑人の意識の外で亡霊と幽霊と生霊と妖怪の老獪なチークタイムとフォークダンス。そこには大体「」や「」、「」みたいなことは言わない、云わないイワナイというか、云えない。

 さあ、炎は移り気だ。映画館の前の席のテンガロンハットは重い火傷を隠せない

 右には剃刀両手持ちの姉 左にはゴム弾入り猟銃を抱えた麦わらのアレ

 どっちにしても消えちまえ!と言いながらも、いよいよ僕の菜園は灰燼へと近づいている。

 教会の鐘を落とす鴉、白骨の舞踏、呆れ顔の青、赤ら顔の頭巾、狼は絶賛減量中、彼曰く「パセリは焼いても美味しくはないのに!」

 海辺の蜃気楼、秋にだけ生きる虫も消える、絵描きの耳たぶを行方不明者として捜索願を出す時の気分。無言で45口径の拳銃につめる3000発の花火が感傷的、けれどそれは確実に2000人くらいは葬式にださなければならなくなる。そう、君がグラノーラでは足りずに、慌てて暴力的に焼きあげたベーコンエッグが、完成直後に換気扇を通って天に召されるように。

 そして全てが暗闇に包まれた後、劇場の最前線で棒立ちしている僕が抱える、湿気たアメリカン・ポップコーンは、まだ半分以上も残っていたのだった。