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haiirosan's diary

散文とか

Marlboro Licker

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 気づけば彼女のライターは虚空へと消えていた。

 冷凍庫のような新宿三丁目駅、231番線プラットホームにおける三番目のベンチ前、黒服の探偵の消失事態及び白服の少女の焼失自殺。其処にいた僕ら×人はどうしても青一号に染まったアイスキャンディが食べたくなったことだけを想い出す。

 薄汚れた革靴だけを遺した男と、断末魔をあげながら淫らに灰燼と化した少女のことはfLimの淡い一描写にしか視えなかった。

 太陽すら羞恥する12月の寒い寒い夜、赤一号に濡れたアイスキャンディの代わりを求め、ざらついた灰色の大地を彷徨う巡礼者のような僕ら。

「一人倒れ、二人斃れ、三人タオレ、四人囃子」(p.231)

 咽喉が渇くけれど灰を吸う、顔が剥がれる先にみたオアシスに浮かぶ桃色の果肉。直径10mの湖には釣り人や漁師すらいない。みんな死んだから。

 空の500mlペットボトル、Double meaning・ライター、Oyster Souseに希望を持つべきではない、と。

 水のない世界、ここに火をつければ全て終わるっていうのは、快速急行の吊り皮で首を括るくらいに現実的では無い。けれど、

 或る女の子が人形に云った、どうして雛祭りのひな壇にひな鳥を置いてはいけないの?

 僕の疑問は庭の美しいシェパード犬が、実は殺人の前科持ちだったってことを知っていたからこそ、曰く「恋愛は煙草みたいなもの」と鏡で髪を梳かしながら答えた。誰が誰に?

 鏡を見ているのは僕じゃない、鏡に映っているのは君でもない、鏡を映しているのは被写体ではなく彼が映る鏡の中の鏡の外に反射する鏡の反面に裏側を見よ。

 そうしてほら、ビデオ収集家の彼の脂ぎった醜い指先が煙草に見える。燃やせばほら、小学生の頃に骨まで舐めたFCの香りがする。そう、制服の男達と共にガードレールの脇に立つ「あまりにも壊れている」彼の言葉が全て偽りであるかのような、果たしてこの匂いも少年少女というより香料添加物に近いニュアンス。

 僕の彼氏の実名も非公開、匿名性のない不穏さ、その実不透明な僕の彼女とVHS海岸線、羽根のない天使が逝く先に視た50million year trip.

 モノクロのモザイク、モノトーンのモノリス、箱庭で交わる紫の煙と唇に僕らは嘔吐した。だって僕らは非喫煙者だから。

 そうして造花の花壇と警官の死体で飾られた長方形で、君は1カートンを舐めつくすまで其処で笑っていたのさ。