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haiirosan's diary

散文とか

シディ・ブ・サイドの薔薇

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赤と灰がざわめく諦念の街路を彷徨う私は

或る真夏の朝 無惨に渇く無為な夢の中

いつか色彩の散文で見た チュニジアの青に焦がれた

蒼と白が織り成す永遠の迷路――

 

 

シディ・ブ・サイド 混濁する白 眩惑する藍

セルリアンブルーでも

コバルトブルーでも無い

其処にしかいない生物のような「アオ」

 

目に映る 澄み切った空のような建造物

例えば地上1000m  グライダーからスライドする景色

どこまでも淡い街に飛び込んでも痛みはなく 柔らかく抱擁するような

そんな幻想すら抱かせる

 

アーモンドの浮かぶミントティー

CAFE des delices 彼の筆は何色だったのか

(アラブの砂漠) 〈アンダルシアの犬〉

(果てのオアシス)〈切り裂かれる眼球〉が「建築」で組み合わされる時

あの色彩が生まれたような そんな想像はカップの底に沈む――

 

季節は過ぎ 冬の酔夢

私は青と白の風景の中

歪な薔薇となって 孤独に花を咲かす

聴衆の嘲笑 芸術の幻聴

絵画の象徴 陰画の亡霊 抽象画家の裸婦の気持ち

蒼白な吸血鬼の庭 花も散り 盲目 忍び寄る死の匂いに唯 笑う

 

そして目が覚めて 酔いも醒めて

私はまだ 赤と灰が蠢く世界を彷徨っていた