haiirosan's diary

散文とか

雨の桜、跫と傘の悲鳴

f:id:haiirosan:20160331155522j:plain

長靴が偽りヲ刻む
ヲ履いた猫
ヲを抜けば 抜粋すらカフカも不可
意味に君を求めてなどいない
君は誰?
アイデンティティの喪失と葬列
葬儀 春霞 空 酒に濡れた道 疲れた日々
退屈な彼らは傘をかざし
陰鬱な僕らは傘をさす
渇ききった水曜日 錯覚の木曜日
白い目をした桜の下
首を吊るかシャッターを切ろう!
白日の演説 白々しさに殺意
斬るより刺す 倒れ伏す
信号は朱しか示さない
みんなは渡る みんなの歌は断末魔
死体の音源が栄養源

やがて総てを隠すために桜は散る
執行の日は春の嵐
開いた傘にへばりつく花弁
色褪せず 艶やかに
刹那の生 背徳の笑み
散る花火よりは美しいまま
煙もなく 叫びも無く
無垢で静かなまま
無邪気で残酷なままで