haiirosan's diary

散文とか

シンシアと金平糖ファン倶楽部

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シンシアはレミントン・ショットガンを振りかざし、途方もない革命とフレミングの法則に革新が起きることを宣言した。
彼女が映る街頭テレビジョン、スクランブルエッグすら有罪の交差点、水銀を舐める人、太陽を蜜柑と誤認する人、荒れ狂う積乱雲を世界の終わりと勘違いして拳銃自殺をする人。
倒れ伏す人々が見聞きするのは、死後の極彩色かそれとも暗黒。
シンシアの宣言は一体誰に響いたのだろう。
骨を探す野良犬か、骨を失い自由を手に入れた海月達か、金平糖とマッチを売る少女か。
やがて、彼女の叫びと散弾のメロディはMTVCDTVのポップスによる喧騒に掻き消された。そして彼女はチャイナタウンの一角のアパート3階にて、窓枠の永遠の天使となったのさ。

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金平糖を忘れた海抜0mの心,人間の流れる灰色のプールに間断なく投げ込まれる、楕円形の塩素剤は、いつかの唐紅製金平糖のように甘く切ないことを思い出させる。同じく投げ込まれる、装填数1の45口径コルトガバメントは、いつかのヒ酸ソカ青リ製金平糖のように君か僕を殺すことを選ぶことを迫る。 天使となったシンシアはそんな光景を窓から見下ろしている。夜も朝もずっと、ずっと。


ところで、金平糖ファンクラブの皆は糖尿病で、塩分や辛味を心底憎んでいる。さらに夏及び暖かな場所を忌避して、金平糖が名前と身体を無くしてしまうことを避ける為に、彼らはみなパプアニューギニアに住んでいる。だが、半年も経つと何故熱帯圏にいるのか何故パイナップルが笑っているのか解らなくなりPCPを。
そしてシンシアが紅い砂漠の果てで笑っている風景を想像せざるを得なくなる。