haiirosan's diary

散文とか

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時計狂って、町は傍観
多分夕暮れが蒼く染まる。
赤、朱、茜色
哀を愛と誤り
藍と青の境界
夕景が蒼いのは世界の終わりの知らせ。
屋上でそう云った二人が墜ちる刹那は新聞38面に収まる
1面にリーグ優勝
39面にパンデミックの知らせ
救いのない報道 救いようのない人生
牛の眠りを忘れれば
前も後もなくして横転事故
這い出るのは人か炎か
体温が凍結した僕らは熱を求めて。
壊れた柱時計の針に絡みつく仮名の髪
SNSそれともSOS
匿名の叫びに救急車は来ない
クランベリーの潰れた道
柘榴が乱れた街
赤に茜が重なり、ガキは餓鬼に変換される下校時刻
狂ってもいない電波に喚く
狂っている制服と自転車
群れる羊 血塗れの牧場
餌にフレア 気の触れたエクレア
ほら皆17歳で消費期限切れだ
チョコレートは夏も冬も狂いがち
溶けて 白く凝固して
ビターもミルクも意味を無くして
君の指先は虚無に溺れる

麦酒の表面 ジンの裏面
ピンポン跳ねる人生のラリー
パーマを失敗した琥珀色の彼女
透明人間の狂った彼
ねぇ、君がナイフを持っているか否かを唐突に問えばAlc.は40を越えるから病院に行かなくちゃ。
無職に職質 無言の遺言
手向ける花は造花のみで
親族の飲み会で気まずいのは私だけ
開店前から満席の酒場、少女が無邪気に頼む鴉の目玉、少年の悪戯で割れるステンドグラス、刻まれる色彩に見惚れていたら、いつの間にか色を喪っていた。
それが悲劇か或は喜劇か。
問う君を硝子越しに凝視する鴉の群れと暗い黒い太陽