haiirosan's diary

散文とか

赫と蒼が収斂して、僕らは散りゆくだけ

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ステンドグラスが砕け散る刹那、教会の鐘は無慈悲を刻み、あまりにも眩し過ぎる光が僕らを焦がす。
フリージアカラーの空を漂うアークバードの獄炎、ブルーバード去った街に、鉛色のサイレンが鳴り響く。
散らばる色、散らばる光、散らばる――
散りゆく羽、散りゆく夢、散りゆく僕ら。
いつかの海岸線、少女の麦わら帽子はブックカバーと共に溺死して、少年のサンダルは砂塵に抱かれて喪われてしまった。ひび割れたビー玉の記憶、紅葉が枯れゆくような、儚い記憶。

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――1989年、裸足のままのクリスマスに観た『汚れた血
スクリーンの前に座る少女は赤い靴を履いたまま、決してそれを脱ごうとしなかった。血だまりがカーペットを覆っても、サンタクロースの首がガードレールに切断されても尚。
17歳のまま死にたいと嘆く彼女の瞳孔には蒼いソナチネが永遠と流れていた。白と黒を揺らす旋律、何処か諦観したかのような、渇ききった涙。
赤ワインを零す天使が彼らに救済を与えることは無く、僕らは傍観者として水の中のナイフを握っている。メランコリーの行方不明、青いままに刻んだいつかの6すら色褪せてさ。

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過ぎし冬を弔えば、僕らは――