haiirosan's diary

散文とか

太陽の縊死体、白昼に揺れる百合

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――目が覚めたら、花瓶が薄荷を溢していた。
血塗れのゴルフクラブ、正体の無いキャディ
「多分ウォッカとビールを飲み過ぎたんだ」
窓の外、天使の梯子から堕落するBはそう云うけれど、どうやら鴉と鳩を誤認逮捕することはないらしい。
外が眩しいから、私はベッドに横たわっている。
机上の形而上
戦場の形而下
血糊で作ったプラモデルみたいな何か
何の、何が、何で作ったのか、
胃腸薬が苦々しいのは何故か、
何が此処で燃えているのか?
とれたバービーの首
髪が伸びる一松人形
無色の金平糖
疑問を解決するのは、午後二時のコインランドリーだけだ

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けれど、夢の中では桜はもう咲いていた
蒼に開くパラシュート
蒼を刻む有刺鉄線
僕らが上を向いて歩けば
足下に白蛇が絡みつく
密緑を裂くジープの炎上
トランキライザーの雨が降り注ぐ三月
売り切れたロープ
錆び付いたスロープ
下りしかないエスカレーターに乗り込めば
僕らはもう誰とも擦れ違わない

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