haiirosan's diary

散文とか

夕景の終焉

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https://youtu.be/ejlniMDlt8Q

全てが終わりを迎えた夢を視た。
夕暮れに枯れた未来
夕暮れに渇ききった希望
夕暮れに――
世界は俯いているから、私もそれに倣い俯く
葬列が蒼白に染まるから、私も青1号に浸る
鴉の花嫁がブーケに血を滴らせる時、国道スロープに遺された脾臓は未だに鮮やかだと彼は自殺する刹那に笑っていた。
横転するだけのトラック
円転するだけの野球帽
バタフライナイフのクロール
アスファルトを装飾する硝子片
度の無い眼鏡が救いになったと弱視の牧師が叫ぶ

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羊しかいないカフェの窓際、救いも終わりも無いような雨がステンドグラスを刻む。
リボルバーはオートマチックよりも命を奪っている手応えがある」
――数年前、赤い靴の少女は確かにそう嘯いていた気がしたけれど、私の目の前に置かれたアイスコーヒーの氷は無言と終末の形状を為してゆく。ゆっくりと、然し確実に。彼女のジントニックのライムは未だ、艶やかな行方不明者として彷徨っているというのに。
夕景に燃えあがる命に誰が蝋燭を翳すのか。夕景に死す澄んだ眼を誰が救うのか。闇に呑まれる美しさを誰が――
キャスターも湿気て、左利きの彼のジャックパーセルは余りにも穴が空きすぎた、そうあまりにも……

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