haiirosan's diary

散文とか

私の蒼いラストワルツに誰も、

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熱病に蒼が狂い始める。

6月の終末に、僕らは未だにドライアイスを抱えたままで、逆さまの蝶が形而上のラストワルツを捕食したとしても、無音の舞台が暗転することはない。

振り向けば君は忘却の彼方で、紅色の葵をその手に握りしめていた気がしたけれど、蜃気楼の果てには絶望しかないと囁くのは私なのか君なのか。

何処かで鳥が咽び泣く。33の首が曝されても尚、この世界は青さに浸っている。クーラーの黙示録、バームクーヘンが着る青1号、アイスクリームパーラーに遺された選択肢はチョコレートミントだけだと。

解体された人造模型の瞳は透き通って、ビーカーで揺らぐ青い炎がセーラー服の紺を焼死体へと変換する。

「誰にも視えない来客がいる!」と私はいつか叫んだけれど、「多分いつか来るビジョン」と手を繋いだ三面記事に描かれたシクラメンの油彩画の心理的瑕疵に憑かれていた。

誰が描いたのかも不詳なその花の死んだ口元。もう何も無いこの部屋に花束を捧げるのは、青の終わりを宣告する嘘の無い赫だと誰かが云って、私の濁りきった眼に刹那の光が宿った気がした。