haiirosan's diary

散文とか

ブルーキュラソーの水槽

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死んだような蒼が世界を溺死させ、魚の祭が終焉を迎える時、私は水槽に注がれるブルーキュラソーをずっと見ていた。

「夏に溶ける塩素剤に罪は無い」と『審判』は冒頭に書き記していたけれど、私が注文した200$は未だにリキュールのままだ。

カミュの言い訳に絶望的になった少女が私に向かって「  」と叫ぶ。

然し、テロップの行方、クラップを求めるスクラップ・ヒップホップにスクラッチもレコードも Leonard Cohenのライナー・ノーツにうんざりしたポークビーンズにビーガンの怒りとアラビアータ・トスカーナシチリアン対ベジタリアンの反目と慟哭に俺たちは30歳で此の世を去っていった、濁りの無い一滴の為にLilac WineとHallelujahを。

祈りの旋律が0%により無情に無音になった時、水族館のセーラー服の群れが亡霊と化す。

彼女らが1を――する為に人々はどうして撒餌を拒むのか、ビルからの投身への希望を捨て去れない嘆きの天使、偽装の熱帯林、立ち込める火薬と猟奇殺人の甘い甘い香り。

あまりにも空虚な半透明、海月の夜、LEDの狂気、水の中の葬列。

Reversal Process,反転する平行世界の写真を彼女達はどうしても撮りたいから、僕を13階段から突き落とすことに何の躊躇いもなかったと、東京拘置所のAは訴えたけれど、じゃあ私に科せられた〈淫らな死〉への宿命と序曲の休符は永遠なのかと問い詰められれば、彼らは4人で5つのスイッチを押すことを拒むはずさ。そう、私の唇が渇ききって、土曜日の讃美歌が老衰で積乱雲と化したことにあの鮮やかなスカートの記憶すら、もう色褪せたのだから――

 

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