haiirosan's diary

散文とか

Swim Ciel Bleu Rumble

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――そして焦熱に晒された世界の中、私は霊安室の椅子に縛りつけられたままだった。

いや、縛りつけたというべきか、試験管に納棺されたブルーハワイと死、猫の爪先に塗られたコールタールに放たれたコットンの染み、散弾銃、羅針盤の行方不明。

蝉時雨に残るのは水鏡では無く、色の落ちた積木だと蒼いワンピースが訴えたが、その裁判記録はすでに赤蟻に食い尽くされてしまっているのに、誰があの日傘の残り香を救うことができるのか?

海辺のジェシカ、恐らく君は致死量の海月に腕を抱かれて、7月は脆く燃え尽きてしまったけれど、アイスリンク上に張り巡らされた十字架には、未だに風切羽の鳥たちが停泊しているはずさ。そう、いつか訪れるかもしれない(清廉なままの世界の終わり)のプラネタリウムを永遠と眺めながら。

どうして、折れた翼の天使は海面に浮かぶのか?彼女の死が壊死だとしても、アスファルトに咲く花が造花だとしても、いつもブルーシートとKeep Outは真相を覆いつくしている。此処に置かれた首は脊髄の視えない透明な雫、此処に置かれた眼球から流れるのはマリアの血とブランデー。

理由はわからないけれど、白いカーペットは沈黙と酩酊のままだ

理由はわからないけれど、赤い部屋で飲む麦酒は僕の喉の渇きを癒すことがない。

理由はわからないけれど、ドアノブが無い部屋の何もない狭間に私は、

体温計が砕け散る時、氷枕が白紙の草紙を提出したとき、講義室は密室と化して、僕は32の花束を買いに行かなくちゃいけないけれど、花瓶に押し込められた注射器と錆びたナイフの記憶を僕だけが忘れていたから、空白の青空はずっと無言のままだったんだ。