haiirosan's diary

散文とか

♭’∉∞ℵ#’, 海辺のコンバース

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藍色の死が彷徨っている、火葬できない花束、造花の夕景、外科室の哀歌。(はじまり)の無い会話にクリームソーダだけが終わりに近づいてゆく。
夏が過ぎて、柔らかな黄昏だけが網膜を這い回っているから、

向日葵が硝煙と共に枯れていった。32日の路面凍結、足跡のつかない世界とアンダルシアの蟻、花瓶に刺さる花瓶の色は夕刻イロ。
蒼が深くなる度に記憶を喪ってゆく、パーティーの朝焼けに焦がす純粋、アイスティーが沸点に達した時、錆色の冷凍庫が睡りから覚めることすら――

高架線で最期を迎えた少女がビートルのハンドルを切る、160㎞のスリップストリップ、レベッカの6弦、2弦が錆びついた音階に、誰が螺旋と鴎を描くのか。茜色のライ麦畑は404のベッドみたい、そんな風に横切る黒猫が笑った刹那、私の心臓を貫くのは――

星月夜に朝焼けが炭化した。金魚鉢に注がれたラムにカクテルは匿名、気狂いピエロが自らに巻きつけた爆薬の紺色が、高明度の色彩に浮かれる世界への反旗を翻している。
カーディガンを燃やすと秋が、何もかもが奇麗な終わりに近づく、私はそう信じているけれど、ポケットのマッチはもう――

淡いソーダ水がワインに浸食される、葡萄棚の全焼、海辺のドストエフスキー、♭’∉∞ℵ#’,
然し、Aphorismの歯車が廻り始めた時、ウィスキー越しの君は未だに笑っている、確かに綻びた筈のコンバースと10月。その絵画が鮮やかに轢断された時、僕らは切れないスペアリブを無言で眺めていた。

絶望という名の地下鉄、透き通った車窓に揺らぐクリームソーダは溶けないまま、いつかの夏の黄昏を描いていた。1842/を黙視し、蒼く淡く、闇が抱擁する針時計を切り裂くように、
――やがて、グラスにそっと罅が刻まれた刹那、私は秋宵の牢獄に閉ざされていることを思いだした。