haiirosan's diary

散文とか

「始めから狂っていた」

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眠りの森の花々に抱かれて、私の夢魔は無垢なまま暴かれる。更新の無い未来、崩れゆく日々、濁る瞳に救済は無いから。秋麗の執行猶予は人々の記憶から掻き消され、色と旋律を喪った12月の瓶詰の中で、70916-0のビルの曇りきった硝子を愛撫している。
錆びゆく歯車が「始めから狂っていた」針時計を火炎と黒い雨に溺れさせても、絨毯の鬱血と蠢く夕景は真実だと絵画の林檎は囁くけれど__救済の無い部屋の鍵は何回目に見つかるのか、私にはどうしても分からなかった。

禍時にサイレンが唸る__私の睡魔を5に引き摺りあ……げたその林檎飴は0.0703以下の不協和音と有刺鉄線に絡みつく。貴_≠女の赤い靴と藍色のマント。分岐点に黄色の標識は無く、4F紫鏡の砕け散った痕、紙芝居の終幕はいつも白い左手首が崩れ落ちる刹那だ――
7分後の世界で私__全てが終わってい__らとカーブミラーから零れる水色の水は嘘だと貴女はアスファルトの水平線上から囁いたけれど、水曜日に羽と電線を喪ったタツノオトシゴ/《  》は砂浜の砂を理解できなかったから、あのドアは未だに開いたままだ、

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――水色の傷痕をずっと見ていた。赤の無い血痕に透明な絆創膏が被さり、永延と平行線を刻む心電図の音色すら、君にとっては福音なのか?
__淡い天井から吊された太陽のカケラ、熱を帯びるイロすら、もう此処では薄れているというのに、
何時か、海岸線に座る裸足の少女は紅いスカートを忘れ__
隠し持ったカッターナイフの蒼に浸っていたこと、君は582頁の空白に切り裂く7月に摂氏××度と/LilacWine Chordの葬列に貴女は何を捧げるのか?
穴の空いたサンダル、埋まらない孤独を奇数で刻む素数が覆えば、もう渇ききった夏は訪れないと――
午前肆時の虚ろなダンスホール、口紅が溶けた暁を視ること無く、貴女は自らの心臓に鍵を掛けた。

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崩落するフロアにへばりつく簪と蝶、ひび割れた円卓を燃やす君の翡翠色の瞳は、炎の中で救いようの無い清涼さ(だけ)を湛えていたから__