haiirosan's diary

散文とか

白雷のレンズ、修羅と花

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沙羅双樹と剣山に君の投身は陰画を描く
咲き乱れる修羅の花
骨だけになっても尚、切り刻む火葬場
みずうみに浮かぶ蓮の葉
みずうみに沈む罪の残滓
紅蓮に抱かれた夕刻
針だけが正常な教室
聖杯を奪いあう迷路に
貴女の首は何処に置かれた?
渇いた葬列の造花が枯れる
無人の棺桶と白衣の足音
夕暮れの暗い視線すら
彼らに正体を齎すことなく
血のこびりついた田園
血を纏った死者は誰?
血を零すのは__
――渇いた葬列の造花の歪み
春雷をアイスボックスが愛でる
ザザ雨はスピーカー蹴散らして
焼けつくコンバース
透き通る青い眼
左利きの6弦が宙を舞う
夏の水彩画は寒さを増し
季節外れのコートは色褪せて
彼女のマイクスタンドは折れたまま――
白雷のレンズが藍水に浮かぶ
傍観する影、綿雲焦げて
逆さまの蝶は翼を喪い
かつて空だった海に溺れて
五線譜に刻まれた蒼は
誰かの憂鬱と共に彷徨って彷徨って
――ほら、藍色のトリアージ
緩やかに、静かに這い寄っているから、