haiirosan's diary

散文とか

青熱に焼かれたレンズ・フィルター

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夏の青は永遠と呪詛と讃美歌を歌う
石化するオルガンの嘆き
焼死体と化す百年戦争の末期癌
かつて教会だった――
かつて無垢だった__
此処には誰もいない
透き通った吸い殻の呼吸が海水に溶けて
遠くの国の誰かを殺すだけ
アスファルトに染みる悲鳴
レガートの旋律
スカートの遺品 
思考停止のままのスマートフォン
白く濁った犬の目 
疾走するのは唯、隠滅された無垢の言葉
瞬きを繰り返す辻斬り雨と青信号
彼女たちが呼吸を止めた時
彼女たちが裸足を嘆いた時
此処には赤い砂漠しか遺らないから__
37の青熱に焼かれたレンズ・フィルターは、最期に「偽りの8月」にしがみついた
救済すら偽装、遠い遠い波音のような警報に、向日葵の残滓から滴る内臓と記憶に500mlを混濁させて__夕刻