haiirosan's diary

散文とか

ブルーキュラソーのグラデーション

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紫陽花溶けた朝焼けに、少年の爪先は幽かな亡霊と怨嗟に剥がされてしまった。
だが、遠い警笛を糾弾する185694の使い魔の醜き悪意に、胃からの出血止まぬ少女が手に取ったレミントン・ショットガン。
3番目のトイレに投げ込まれたヒ素の色で観音開きの入口を塗れば、きっと深く潜れたはずなのに。
揺らぐ硝子の水面にミントリキュール注がれ
人々は清涼な沈黙を選び取る
足音を掻き消すザザ降り雨と青ざめた太陽
傍聴席の無音を目隠しの断頭台が引き裂いて
柔らかな朱の香りが翡翠を蹂躙してゆくから__
ブルーキュラソーのグラデーション
ホットケーキ融解して
殺人の色彩すら隠匿される夜が始まってしまう。
歩みを進める蟻の群れの肌も、艶やかさを湛えて、砂糖菓子の歩道橋が崩れ消えてゆく足下すら、何ひとつ気づきもせず――
暁の神経系、朝靄、彼方の茜色
千切れゆく淡い鳥たちの羽根が、
藍色の彼岸花を枯らしてしまう。
5/3
赤い眼をして立ち尽くす暗いレインコートは
雨があがったことも忘れて――
奇数廻る季節に、素数が救済されることは無いから