輪廻の夕刻は静かに反転し始め、少女の酸素不足は呪詛と共に火を放つ。
より深い赤に切り裂かれた睡りは、死者と化しても尚救いがたく浅く――
橋の彼方、未だに終わることの無い夕景に、彼は永延の(叫び)を止めることはなかった。
明滅するサイレンの雨、光は水死体となって、陰画の真実は酷く清廉さをましてゆく。未だ辿り着かぬ青い砂漠の深海に、アスファルトの隠蔽だけがほくそ笑んでいたから――
「死んだような街の夕刻、幽かな光を灯す水縹色すら、紫煙と暗濘に閉ざされてゆく」
換金された揚羽蝶は秋を絞殺して、
片羽の蝶
蛹のままの静脈
海辺の沈黙に墜落したいと願った。
錆びついた教会の鐘と休符の無い暁
裸足と零下、ヴェールのまま焼かれた人々は未だに砂漠の海を彷徨い、紅葉を捜し嘆きつづける
影絵に映る4層目の景色
パノラマは、奇数を殺したことを不起訴に処され笑って
彼方、隠滅された向日葵の残滓をかき集める蒼は、
有刺鉄線に注がれたリキュールに酔い痴れ、終わらぬ黄昏時を迎える。
林檎飴滲む夕暮、時報すら酩酊し、揚羽蝶の「かごめかごめ」が嘯き始めれば、血塗れの井戸の封が解かれてしまう。
這い上がる白い手の気配が、鴉の喉を切り裂いて
少女たちの赤いランドセルが、淫らにアスファルトに転がってゆく――