地獄のグラデーションと摂氏__に焼かれ、ペリエの翡翠は緩やかに変換されてしまった。
情熱という名の虚無に永遠と墜ちる夢、
徐々に錆びゆく階段の
13段目(だけ)が見つからずに這い回るのは――
――奇数の蜜柑に封入された青酸カリが滲みだし、5月は穏やかな死を迎えた。
(春)の名を忘却し、
誰もいなくなってしまった舞踏会に、
仮面
が
一つ、
二
つ
と磊落してゆく
最期に灯されし淡い光
明滅する蒼白もいつか消えてしまうから
色を喪ったステンドグラスは唯無軌道な光を放つ
此処にはラストシーンへと向かう
渡り鳥の影すら無く、
熱病の季節へと向かう南風だけが
ふわりひらりと彷徨い歩いている。
_揺らぐ右
__嘲笑う左
/
逆さまの眼が蠢いて、
三面鏡に映る喀血の足音は止むこと無く
畳に刻まれた冤罪の痕跡
風鈴狂い咲く夏の呼吸を紫煙が凌辱すれば
朝日は茜色のままに地獄を彩る