haiirosan's diary

散文とか

黄昏、青一号の海原

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カーブミラーに映された「逃れることのできない死」は、夕暮の終わりと共にリセットされるはずだった。
道端に転がる凝固した血痕、

融解した肉塊、

塩の眼と海に傷口を、逆さまの祈りを、正体を喪っても尚ずっと__

路地裏の暗緑・透明な水

オフィーリアの叫び

あまりにも早すぎた埋葬……彼女の左手が幽かな救難信号を発していたことに、街の喧噪と光は気づくことができなかった。

降りしきる雨の連鎖と黙殺する__

車道に飛びだす乳母車すら、今や希望の暗喩だというのに。

摺り硝子のような空

暗寧のブランケットに火が放たれて

眠りを告げた太陽の揺りかご

空に湛えた青1号の海原で、姿見の滑空者が焼け墜ちて

__乾き往く死の水分、暗い暗い泡沫弾けて、細波は平静を再び取り戻すから。

海岸線、4F,刺殺体に花束を 転落死に祈りを?

「咲かない花もある」

青い春を永遠と繰り返す(彼)の最期は、より深い蒼を沈めて

朧ないつもの朝に、鳴り止むことのないサイレンを刻み込んだ

桜散らばるアスファルト

飛ばない鴉たちは夕暮れの傍観者のままで、

誰もが葡萄酒の葬列に堪えきれず

群衆は逆さまの十字架を背負い、紅色の砂漠を彷徨う

砂の無い(永遠)

救難信号を黙殺されし白昼

フィルムに収められた水死体の真実――
肥大化したレンズに無垢なる罅が一匙刻まれて、私は__