haiirosan's diary

散文とか

翠緑に添加された果糖

f:id:haiirosan:20200705091407j:plain

終末の交錯、蜃気楼のような痕跡は夕暮レに拭いがたい傷を刻んだ。
止まらない血
揺らぐ断片
無慈悲の警報
悲嘆に暮れる黄昏の匿名
炎上するのは仮想空間ではなく
君が死体のままの世界だから――
翠緑に浸された死体。
無言に添加された果糖、偽装に塗りたくられたノスタルジーに、世界は(毒)を錯覚した。
呼吸もままならない無音の咳に、埋まらない空席が一つ、またひとつと生まれてゆく。
〈誰もいない映画館?〉
二重まぶたのスクリーンに映るのは、色彩の無機質な笑みだった。
幽かな反転は、変死を水彩画に溶かし込む為に鐘が鳴るのは誰が為なのかすら__
赤死×に沈められた
空き瓶の罠に罠を巡らす輪廻に、彼らの信仰は何処へ消えてゆくのか?
いつか、躑躅の蝶が深緑を喰らう時。
木々は自らの名を忘却してしまう。
間断無く降る雨に、匿名の妊婦と淀んだ目蓋の百年戦争が描かれた。
血の染みた地図、此処には何もなかったことを__