haiirosan's diary

散文とか

円卓上の陽炎

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紅海拡散する波打ち際
血の芳香剤散らばり
火薬庫は臨終を迎えた
治癒すら望めぬベッドの骨折
重油漂う暗渠に、カナリア泣き叫ぶ
匿名の傍観
教会は紫煙に浸された
「誰か」の影と懺悔が永遠と揺らめいて
逆さまのパノラマ
順行する三面鏡
ひび割れた希望
ひび割れた絶望
罅と未来
罅と過去
目眩と酩酊
眼鏡を喪う
足跡
指紋
__
__行方不明者はいつも、
死とアルコールの残滓を鏡に刻み込む。
円卓上の陽炎
鼠花火と針時計の逆行が炭化した時
全ての左手が朽ち果ててゆく
太陽への敬礼
地下からの咆哮
血清の無い救済
片眼の瞳孔閉ざされて
曇天に埋められしアルファベットの17は青ざめて――