haiirosan's diary

散文とか

スルツェイのストーリーテラー

――ザザ降り、気圧はすべての視えぬ希望を殺す。敗血の痕に、かつての栄光と勝利は藻屑と消えてしまった。こうして遭難と死を繰り返す日々は、遺された沙漠の水のような愛と藍を愛亡きふりをする愛という憎悪のホテルの片隅で愛撫するみたいだ。 さあ、雨音の…

2023081819 日記

――わくわくさんだってワクワクしない時だってある。ワクチンよりもヘロインと愛に腕が痛む水曜日だって―― 黒い雨、供給過多の横浜華僑街、珍が付くチャイニーズ・レストランでオレンジ・チキンがフェイクミート&ダンボールカリンで彩られている憤り盛は二郎…

Down To Heaven

アナログの夜伽、混濁した視覚視野に突き刺さる、季節の壊乱。 スクリーンに刻まれた罅――熱病に火を放つドライアイスとスピリタス。 青1号のドーナツ、不穏なる暗雲。抉られたサロメの眼球が、この世界の靑を永延と映している。 不可侵と不可思議に沈むパノ…

東京都京都呪詛は靑い着色料

――夢幻なるきょうと御堂筋にひた走る暴徒。 一陣、三陣、癈人の異人と砕けたフィルム。 遥か彼方、パナマ帽崩れな藍色の風が泣くとき、たしかに「あまりにも早すぎた夏」は見えない9人の三振によって、偶数番を亡き者へと変えた。 鴨川に流れる数多の水死体…

飴玉の紙吹雪

綿飴の夕刻に蟻の葬列が群がる着色料に冒された404号室の紙芝居 飴玉のブーケ 異国の花菓子に潜むのは? 紙吹雪が繰返す、あまりにも可憐なる終幕 裸足の彼女たちがいつかハイヒールに毒される夢林檎飴とイチゴ飴に潜まれしヒ素は 最期を鮮やかに彩るから――…

罅割れた花瓶の花火

泡沫を描く造花は熱の無い花火を繰返す。 罅割れた花瓶のような世界、枯れ果てた憂鬱なる季節の夢中夢。空白のフィルムに奇数を流し込んで、モノクロームの現像室に一匙の殺意と焰を―― 左85°の黒い手袋に隠れ潜む、ライターとダガーナイフ。――やがてチャイム…

リキュールのフレームアウト

フレームアウトしたリキュールに溺れる果実は熟れて、凍結した世界に救い無き糖度を催す。 珈琲色に浮游したまま、緩やかに死を迎える角砂糖。 透明度の無い深層は、いつも名もなき殺人とコイントスの裏が煌めいていた。血のへばりついた靴裏。蹂躙されし何…

88階、血印のテクスチャ

89階、垣間見のパラレル。 88階から這い上がる神の左手 87の使徒が裸足を拒否した雨の暁 包み込まれる憂鬱のワルツに、スクランブル交差点のパラソルは血に染まってゆく。 彼或いは彼女は逆さまの蝶を愛で 貴女の知っていたはずの名前を、 「ほんとうのなま…

8スクリーンの1/24

反転しない平行世界に、幽かな波紋は反故を示す。 水面に揺らぐ、貴女を殺す為だけのウイルスのような矛盾と抽象性に彩られた水曜日のドラマ。 周回遅れの物語は、微細な瞳孔の揺らぎにすら、匿名性のクレームと革命を蓄積する。 胡蝶の夢、不可視の歪みに覆…

羽根のないヘッセの最終頁

自己の残像引き裂かれ、柔らかな闇の抱擁は不穏と不安に浸されてしまった。 忍び足の夕刻茜は、その色味を深めて―― ――私の精神に匕首を刺し入れる。 剃刀刃切り開く春色めいてまひるの君は壊死を夢見る いつか、スクランブル交差点の雨は紅く 青ざめたアスフ…

夕闇のプールサイドは鬼灯色

水色の夏時計停まり、溶暗する黄昏。 柔らかに溢るる血潮想起してカルキの園は静かに嗤う 水のないプールを遊泳するバタフライ・ナイフが、鬼灯色の煌めきを鋭く湛えていた。 波紋に幽かに滲む静脈血 左手の罪を否定する影絵 6を刻む薬指の標本、君が曖昧な…

暗転スル季節

屍と踊る花花青ざめて揺らめく虚ろ酔い痴れたまま ビー玉と セカイ壊したアルビノが浮游するのは 水無き水槽 此処は多角形の心臓に囲まれたグラウンド。 ラジウム揺らいで、熱病が冷ややかに夏を描く。9回裏のリウマチに、いつかの夢は鮮やかに瓦解してゆく…

紫陽花とアリアドネ

昼の足音は色めいて、フィルムカラーの水彩が静かに熔けてゆく。 水槽の交錯点、錯乱した蒼は終末のヴェールを纏い、その深さを増幅してゆく。地上は色彩の無い迷宮、聳え立つ街灯は煌めく夢を視ることができるのか? 海原のようなビルの群れは、機械音の潮…

白日夢の残響

冥海の月は細波に揺らぎ、夕刻に溺れる街に笑みを零す。 死を拐かす白磁 深みと残響を帯びた蒼は、少しずつ歪を増して、この世界を―― 白日の鎌、田園に溺れる都市のテクスチャ 白磁の左手は未だ血管浮遊せず、 色の無い春を包むリバーブ 桜花の下に手首隠せ…

牛の首と薔薇色のパラソル

海なき夕刻に珊瑚揺れる。 墓場のカーニバルは発想の種子を芽吹かせて、1970年のカセットテープに逆回転をもたらす。 やがて、無機質に斬り落とされる無垢の首も、 夜は傍観するから。 論理無き迷宮を彷徨う蒼い蓄音機牛の首と薔薇色のパラソル舞い踊る 空は…

明滅するままの秋の葬列

茜刺すモルフォチョウ去りし蒼 残り香のイロを掻き消すように、金木犀が縊死する秋暁。 確かな記憶すら亡くした「君」の葬列を傍観者として、レコード散りゆく雨の足音に耳を傾ける。 唯、金箔が剥がれるメロディが続く あまりにも凍てついた9月の迷宮 私は…

夏爆ぜて旋律鳴らす花喇叭

水熱が花花を彩ることすら忘れて、砂漠のような現世はより深い渇きに呑み込まれてゆく。あの口紅色、揺れるクリーム色は為す術もなく崩れ去って。 夏爆ぜて旋律鳴らす花喇叭 熟れた躑躅燃ゆる辻風に、啄木鳥唸る暁の砂の音階と幽かに滴る蜜の手招き ――ほら、…

安楽椅子のパラダイス

綿飴流るる白昼は甘味を帯びて、獄熱と暗蒼に浸された、いつかの7月に幽かな救済を齎していた。 平行世界の翡翠色は、錆びた車輪と不明瞭に蠢く「なにか」を永延と映しだしていた。 ――夏であったはずのスクリーンを瓦解する、暗い五月雨の宵。其処にあるのは、…

千里眼散る剃刀花の都市

震える指先の爪は淡く。彼方の蒼すら揺らぎに揺らいで剥いだ雲の質感はあまりに糖度と背徳に充ちた、あの誕生日と井戸の底に眠る砂嵐の画面と映り得ない異質も、あまりにも平坦な時間と街の冷たい構成音よりは救いがあるはずさ。 シアンカラー滲む都市は静寂…

コンクリート・アイスクリーム・ベンチ

「昨日公園」という名のベンチに映る鏡をかがみのかみと紙を髪を結わえるままに、波乱なき千草はにがよもぎの悲劇を映すかのように枯れていった。 あまりにも神が余剰な生産ラインが流される、ちゃぶ台がひっくり返ったままの居間に陣取るTVスクリーン。アイ…

PHASE 1 CLINICAL TRIALS

薙刀の如き光刺す秋の血小板 彼らは自ら傷つき 自ら血を流す 踊る影絵 欠損すら忘れ 血を纏う黒焦げのワルツ 幽かに遺る水緑の清廉も やがて茜の牢獄に引きずり込まれて 葡萄棚垂れ落ちるシャーベットは 匿名の心肺を柴に染めて―― 夏の終焉、麦わら帽子を喪…

救済なき砂塵と因果律

終秋のかさぶた曝されて 季節を愛撫する蝉時雨は不協和音を奏でる 茜と鬱金の明度に眼をやられ 盲目の憂鬱が色を亡くして彷徨っていた―― 燃えあがる 倫理の造花 色めいて 煙る刹那に 瞳孔開く 第三次の末路は無限の廃墟と温もりなき遺体、彼方のサンスクリッ…

水のないプールのナイフ

隠されし藍を求め彷徨う巡礼者たちは、 蒼影の砂漠に引きずり込まれてしまった。 自らの正体をなくし 傷無き破傷風に悶える暁 鈍色の奇数 偶数で瓦解する膿のような、 沈黙のコンパスの針が心臓を貫く時 青ざめた太陽と月が融けあうから―― パステルブルーの…

石榴飴の着色料は死の色

夜色のカマツカの甘美に揺すられて、通続的な水音は私に緩やかな酩酊と睡魔を催す。 ……仄紅く冷熱を帯びた水底 そこでは秋の牢獄から脱獄した影が ゆらゆらと彷徨っていて 季節は亡骸と化した 血塗れの刃先を寒風に晒したまま―― 砂漠色、毛細血管、蠍、砂塵 …

カルキ無き水槽

睡蓮の葉に隠された遺体 その冷熱を夢みる魚は いつの間にか虚ろな午後の陽射しに包まれて…… 網膜から剝離するスクリーン 曖昧な祝祭のような、 綿飴のような火刑に 自らの体温すらも忘れてしまう 障子沈められた蒼白 カルキ無き水槽に笑うのは シャッターレ…

上海瑠璃と麝香唸る雨

アレゴリーの花花融解して、かつて水色を湛えていたはずの空も、天鵞絨の終幕を垂れたままだ。 ――やがて、全ての輪郭を曖昧にするイロに濡れて、(あなた)の思考と左手に茜が滲む。 上海瑠璃と麝香唸る街――レプリカのカクテルが酔酔を齎す時、私の網膜はス…

濾過なき水と藍ざめた心臓

絶夏の花火を夢みた花束は 外科室のような世界で醒めない夢と 冷めきったゆめうつつを彷徨い 霊安室と暁の扉を静かにノックしたんだ 死に覆われた、凍結せし桜花の冬 凍てついた笑みを零せば、氷柱なりし季節の骸 ――透きとおるままに融解すれば 其処には誰も…

溶けない障子模様と琴弦

カーブミラーに紫鏡描く夕刻 禍々しく剃刀滲む藍空 あなたは畏怖に浸された眼をしている 「どうして?」 ――背後に迫る死を纏った足音も、 群青の肌から滴る静脈血すらも、 やがて訪れる深い宵闇が洗い流してしまうのに―― 水鏡に映る平行世界は 夢現にも増して…

百日紅四二八七

百日紅のような夢魔が流す血は影色の境界線と フェンス絡まるサイレンの悲鳴 百日紅誤読重ね薄ぼんやりした視界と 群青のスクリーン―― わたしの血と罪に染まる手すら、 世界を包む、 あまりにも深き断絶に色を喪い、 意味すら失い…… 水色の陰翳を白磁の紅色…

明晰夢と茜時の表象

崩れかけた境界線の障子の向こう 紫陽花の炎が、亡骸を抱擁し続ける畳を柔らかに葬る 幽かな雨音 通りすがる揚羽蝶に彩られて ――色褪せゆく刹那すら、清廉なる青の熱病を携えたままだった 造花の彼岸花香りたつ雨暁 薬指の標本に収斂されし紫の蠱毒は 匿名の…