翡翠色 光に焼かれ 影に抱かれ 朝を迎え
赤いカーテンから覗く 街角の嘆き、乾涸びた空
唖唖、昼食だ 中傷だ スクリーンが喚く単語が 幾何学模様を網膜に刻む
山高帽の富豪が杖を失くすが、彼女達は気にも留めなかった
Hi-Lite 煙草の吸殻 歩道の亡骸 刹那にフィルター
車輪の下の 黒猫の死体 覗いたのは私だけではない?
手を繋ぐ二人 どうか悲しい未来を 悲劇は喜劇 初夏の風鈴 紫陽花の模様が滲む
狂い咲く文月 気の触れたカナビスが笑顔で見ている
喧騒と焦燥の死体 健康体は塩素消毒の青に沈みゆく
排気ガスで吐き気 裸足のままで車道ふらつく
歪む視界 うねりうねり ぐらぐらくらくらぐらぐらくらくら―
――目が覚めたら夜がいて
珈琲色の空が眠っていた――