haiirosan's diary

散文とか

海辺のカフカと焼身するトランペット

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焼身するトランペット 奏でる咆哮はファラリスの雄牛

投身するクラリネット 音楽室の嫉妬が彼女を打擲する

狂いそうな冬暁、マフラーとPJが悲鳴をあげるが、僕にはそれすら理解できなかった

街頭の狂騒 My bloody valentine,君が呼吸を喪った、真っ赤な外科室と錆びた手術台

絶望の街路樹は季節の枯葉剤によって裸にされる。

絶望の青空は鴉の群れが蹂躙している。

絶望の地下鉄を僕は愛していると云えるのか?

不信感 俯瞰する正解 不感症な世界、震える指先は凍りつく 人間は好き?それとも嫌い? あの娘よりアルコールが脳を侵す感覚が好きなんだと或る彼は云っていたが、結局首を吊って死んだのは救いようのない鬱がもたらす悲劇と喜劇

小さな部屋、寒いさむい床

毛布を焦がす煙草の痕

永遠を刻む罪悪の跡

痙攣を起す快楽の嘘

空腹と幻想 ペンギンショーは哀しみに満ちて

水族館の水槽に飛び込めば、トランペットの悲鳴が聞こえるよ

 

――ところで、某市公園前の歩道ですれ違ったヨレヨレの服を纏った青年(恐らく俺より歳上か)が、余りにも透き通った、そして光を喪っていない輝かしい瞳で『海辺のカフカ』を夢中に読みながら歩いていて、ほんの刹那の瞬間だったが、その彼は瑞々しい感性が保たれている気がして、穢れきった自分は一体何なんだという葛藤と羨望を抱いた1月××日。