haiirosan's diary

散文とか

8月32日、忘却の夏 

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夏に砕ける 西瓜と淡い想い

夏に溶ける 写真とアイスキャンディー

あの日君は 眩しすぎて

あの日僕は 腐りきってた

 

「プールの底 赤い靴

羽を失くした蝉の群れ 終末の夏休み

移ろう海辺 水羊羹の変色

8月32日 終わりのハジマリ」

 

そう、滑り堕ちる 夏の刹那

そう、速くなって 過ぎ去る夏

巡る季節に潰されるけど

想い出す 真夏の夜に 死んだ君を

 

夏の夜中 花火は消えて

視えなくなった 君は沈んだ

あの日君は とても静かで

あの日僕は 動くことすら――

 

「舞い散る午前二時 伸ばす白い手

蝉時雨 掻き消された言葉

虚ろな朝 無邪気な蚊の群れ

8月32日 終わりの始まり」

 

そう、滑り堕ちる 夏の刹那

そう、速くなって 過ぎ去る夏

巡る季節に壊されるけど

想い出す 真夏の夜に 死んだ君を

 

――8月32日、忘却の夏

水槽に浮かぶ金魚を見ている――