haiirosan's diary

散文とか

Parallel Dusk

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 夕暮は今日も嘘をつく。教室の花瓶に造花、非常階段に散らばる透き通ったビーカー。午後五時、終にチェーンの外れた自転車、レールをはずれた18歳の少女と、彼女が国道17号線にスプレーで描く「人生は悲劇の様な喜劇」と。

 そして彼女は瞳を閉ざし、白線の上に立ちつくす。右車線のスクリーンでは手を繋ぐ幼く純粋な子供達が。ハーメルンの笛吹き男に導かれるまま、機械の行進のように一歩また一歩と、未発達の部品を散らしつつも白く淡い光に包まれて、此処よりは「綺麗な場所」に堕ちる永遠。

 左車線の画面で2tが五分後に轢き潰す予知夢、迫りくる最期の世界の光景は本当に薔薇が散るかの如く美しいか。或いは季節外れの臓物の五月雨がライ麦畑を惨めに穢すのか、曖昧なまま狂いそうな私のSiri,I p Hope No wish.

――アスファルトを引き剥がした三限目の跡は死にたくなるLunch David Lynch,ミネストローネとチョココロネの香りが微かにする白いカーテンが揺れる午後、赤と黒、そして白のマーブル・コールガール或いはBlack Outsiderに果たし状を突きつけた白人の男は、②ステージ、僅か六九秒の持ち時間の跡に、暗い暗い舞台の上であらゆる人物から拍手喝さいを浴びた。

 政治家、正義漢、歌手、旗手、落語家、落伍者、革命家。

 話しかけるのをやめろ、電話をするのをやめろ、僕のことは忘れてくれ、と。

 全世界に放送されるTVK MTV、彼の言葉は

 話せない やるせない

 フリップ 無言の正解 金言は唖が目で語るものだと華の哲学者は述べた

 魔女はこの世界にはいない。

 罪状は破られるか破られないかは、左と右で一時間ずつずれている

 火あぶり 断崖 焚書 のち司書免許剥奪

 そして彼は逆さまの地表を3フィート

 明日はすれ違う僕と僕はどちらが正解かとカオス理論に突きつける前に、僕の母親が南極と北極にいることを紺色の海底で酩酊する「蝶の効果」が魅せるのは午前二時の夕日と夕景。葡萄酒が藍に染まり、麦酒がラムネへとCtrlで変換されるほどに影が伸びる。アルコールが無いと僕は指先が震えるのに。

 あの娘が左の世界に於いて、鉄の下で液状になって路上に前衛的芸術の痕跡を遺した後、僕は多分笛吹き男と共に水中の風船に変わるのだろう。川魚、藻の装飾、狂人と凡人の二色の風船売りは君なのか。そしてそれがとても、とても怖くて僕は此処で首を吊ってしまおうと思う。

 夕暮の教室に伸びる影がうな垂れて揺れる時、幾千もの揚羽蝶が校庭の上空を舞い踊り始め、夜がそっと近づく頃に鮮やかに散っていった。

 

http://www.nicovideo.jp/watch/sm27197363