不毛の茨に血の花を咲かせる ――これは『悪の華』の話
燃えさかるアフリカ ものういアジア 血まみれの地平線
千の迷宮 黒檀の海「に」夕暮のハーモニー
「あなたは美しい秋の空だ 明るい薔薇いろの!」
緑深いタマリンドの樹の香り ビロードの目の妖精 白く焼けつく夏 晩秋
怠惰な 怠惰の 「二乗」島 雨
「ほのかな龍涎の匂いにまじえ、華麗な天井、底知れぬ鏡、東方のみごとさ」
椰子の油と麝香とタール 黄いろいなごやかな光線
愁いのワルツ けだるい目まい!
(忘れの河)棕櫚の天蓋の下 深淵がいつも咽喉を渇かし、水時計は空になる
夕暮が真赤なマントで降りて来るころ ガラスの牢獄 陰鬱な戯画 血まみれの地平線
人類の残骸 夕暮、犯罪人の友 悲しい しびれた世界
「噴き上げる水は千々の花と咲き、嬉々とした月の光の色に染まり、しとど涙の雨に似て落ちかかる」