haiirosan's diary

散文とか

檸檬シャーベットにて彷徨

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凍てつくような月曜日 彼や彼女が身体を刻むまでもなく 空っぽの朝は停まる

透明なカップの世界 食べきれない氷菓

冷凍 それとも冷蔵? 此処に流れるのは涙か血か

窓を開ければ檸檬の香り

ドアを開ければ6cmのシャーベット

 

排気ガス 甘味料 車輪で蹂躙

其処のレモンスライスはあるはずもなく

其処にあるのは濡れたマンホールだけだった

アスファルト 今日も明日も明後日も きっと彼の皮膚は凍傷を起こしたままだ

救助もいない

救済もしない

 

――嘗て僕は重なりゆく結晶をヴァニラ・アイスクリームのようだと比喩した

然し 憂鬱な人/無機質な鉄の塊の境界に積もるそれは まるで珈琲牛乳のようだと

そこには清廉さと汚濁が溢れ

立ちすくむブーツ 置き捨てられた自転車

残酷な朝は永延と続く砂漠と化し

視えるSorbet

感じるLiquid

折れた傘 錆びたシャベルを覆うシャーベット

僕らが捕食者から被食者へと転倒する朝は 太陽も眠りから覚めなかった