haiirosan's diary

散文とか

落葉が死体遺棄を隠す無風の海辺

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海辺を歩いているような気がした。すれ違う風船のような水死体、トマトのように膨れ上がった顔の縊死体。
トマト缶に内臓入れた気分は?
風船に硫酸を仕込んで子供に渡す心象は?
海抜0米で浮き輪にすがるのは誰だ?
質問責めの盲目のピエロが振りかざすボウリングピン、私はボールを探すために車道へと旅立ったが、そこには二人の少女がなくした首を探していた。
ドアの無いセダン、鏡の無いタクシー、寝台の無い救急車、この世界は無いものに満ちているから、僕らはゲームセットまでガーターを繰り返す。

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国道スロープを走り去る車はどれも赤い血を流していて、私の青いペンキによるゲリラ戦は全く意味をなさなかった。
柱に激突する雨の色が狂って、星条旗に酔いしれる人が曇天のモザイクに溺れる。
マングローブの深緑、君の眼は君の色をしていると君は言っていたけれど、水鏡に映る君は誰だ?
巻き付けるダイナマイト、不発の調べに彼女らはスパンコールを送ることなく、バドワイザー缶の朱をナイフで刻みつづけている。
沈没するボートに穴を空けたのは誰だ、沈澱する海底に青酸を混ぜたのは、浸水する水夫の臓器を空っぽにしたのは。
私は探偵気取りのティーンの気分で推理を始めたが、全員首もなく名もない肉塊だったので、唯一言「Meat is Murder」とだけ呟いて飛び降りた。

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