haiirosan's diary

散文とか

反転する蒼に運動会は死体しかない

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蒼に殉ずる季節の残り香、ベッドの下の彼或いは彼女が残した包丁にへばりつく埃、グラスに残されたままのビールの老い
テーブルに突き刺さったアーミーナイフが喚く朝
テーブルクロスだけを丁寧に焦がす朝
フレンチトーストで形成された自殺の名所
フレンチ・キスで映る暗い日曜日のワンシーン
僕らは忘れてしまう、記憶も夢も何もかも。
僕らは失ってしまう、色と言葉と心を
ドロップが溶けたことに、錠剤が液状化したことにも気づけない私が、雨に濡れる淑女の靴から目を逸らすことが出来るだろうか。
葬列の背後、仮面の四つ足、引き摺られる凧。
今は1月じゃないから今は1月じゃないから今は1月じゃないから、そう呟き続ける少女は青い目のタキシードと共に失踪者扱いだ。

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ねえ、けれどどうして、パンではなく人が首を吊っているのかな。
僕は僕に問いかけるけれど、駐車場で少女達が殴打していたのは西瓜が8個とメロンが二個だった。
ジュークボックスに空いたS&Wの弾痕、juiceboxを刻むギタリストのコンバース、ジュースミキサーに肉を投げ込む背徳感よ。
空が藍から愛を奪取し、今日も何処かでミサイルの応酬が繰り広げられる。
飛行機雲も刹那に消えて、僕はナイフとフォークでしか食事をしたことがないから。ああ、柱時計が左回りに、雲が左に流れているから!エルパソの太陽が沈まないから!淫らな死の運命からは逃げられないから!
そう叫び続けた白昼、遠くのサイレンがすこしばかり近くなったような気がした。

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