haiirosan's diary

散文とか

凍てついたウィンカー、林檎の轢断死体

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雨の七連符、私は凍りついたウィンカーの彼岸に見える、黒焦げの死体を眺めていた。
夜に隠されし恐怖、或は狂気、みんなの歌、蜜柑の姿態、未遂のレミ♭ファ
胡蝶
蘭 孵卵
鋭角 の託 児所
鋭利 なマシュ マロ
え、
私が暗闇の底に堕ちる夢の夢の夢の内部告発に、団体も全学連も無く、ただポーリーが残した湿気たクラッカーと弾倉の無いルガーが硝子越しに揺れている。
プレハブと非常口しかないホール
プレハブに潰された国旗の群れ
プレハブを溶かせばシュガーバター
そう、此処は終末の雨に浸された海の中だから、僕らは頭部を切断された魚の群れだし、あの茜色の林檎も例外無く轢断死体になっているはずだと山高帽は言っていた。ニトロとTNTをcocktailにしたような、極彩色の鬼がひきたてる裸足の少女が悪鬼に変貌するのはいつだろうかと君は考えながら。
ワイパーの動きが止み、ウィンカーもいつの間にか消えていた。
死体を詰めこんだタクシーの行き先はどこも死体ばかりで、彼女は生者を見つけるのに百年の孤独を抱擁しなければならなかった、と誰かが言っていたような気がした。

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