haiirosan's diary

散文とか

Broken Silence

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――目が覚めると、世界は静寂を喪っていた。
オルゴールが永遠と鳴り響くメリーゴーランド、輪廻の果てに地上は見えず、視界を切り刻むのは、鳥たちが無垢に飛び交う碧色の空だけ。
灰色の路上、裸足の花売り、裸のマッチ売り。
枯れゆく心、焦げつく足に祈りなどなく、人々は馬車と蹄の下敷きになっても尚、その手に握り締めたステッキを手放すことはない。
散らばる花弁のような雪に、僕らは溺れる振りをするだけだ。土葬されたプラスチックすらアルコールのサイレンを鳴らさないからさ、Call Girl,110,119,肢体だけを掻き集める109前には、もう赤いシルビアとセダンはいない。
爪を剥ぐような寒さ、と何時かの少女は言った。
だが、その世界に雨は存在せず、僕らは砂塵の中で網戸と三つ編みを縺れさせ続けている。
褐色の季節、冬の色は芥子の幻覚。
暗色の寝室、夏の色は蛍の死骸。
神を名乗る君が神を殺した白昼に、(夢)という名のリキュールを攪拌させれば、そう、壊れた静寂だけが終わりなく漂いつづける。

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