haiirosan's diary

散文とか

Silence Addington

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夕暮のカクテルに網膜を浸ける。
裸のバーカウンター、白骨死体のバーテンダーが創るダイキリは日本刀の味がすると、永遠の出血多量に犯された君が笑っていた記憶も薄れて。
夕闇坂を車道を疾走する輸血剤、鴉が突き破るサイドミラーに映る右目は確かに私に向かって、その乾ききった左手を振っていた。
その手を弾き潰して歩道を並走する500ml天然水への憎悪が、不定形水道水に不確かな大恐慌をもたらすことを、俺たちは誰もいなくなったガソリンスタンドで酩酊しながら想像している。
空虚なハイオク、虚ろなセダンに火をつけて遊ぶレギュラーの延焼。

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けれど、そこにあったのはワインクーラーとテネシークーラーに溺れたフレンチクルーラーがクーラーボックスに沈んだ頭部に飾られていた現実に現実に百合を重ねれば、飲酒癖に病むのは白い肌をした19歳のあの娘。
今にも錆びそうなカッターナイフの先、切られないゴールテープの先に在るのは老衰による惨めな死だとしたら――
中東にてパイナップルが炸裂した刹那、ハワイで視たブルーバード或いはスカイクロラの傷痕。終わらない熱中症により気が触れた白人の放つ銃弾が国旗に穴を穿つ時、自由の女神は散弾銃を抱える。そう、静けさを保ったまま。静けさをこの世界に降り注ぐ為に。

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