haiirosan's diary

散文とか

8mig29448F

f:id:haiirosan:20180831234640j:plain

 

月曜日の棺桶は冷たい、気の触れた体温計が失踪するフローチャート、今が未だ12月だと誰が照明するのか。箱船に閉ざされた匿名の表情と銅貨、変死体と化した自転車に挾間の時を求める少女の首飾りは錆びついたまま、終わらない8月を浮遊する。

炎上する火焔弾に偽りはないと誰かが言った気がするけれど雷鳴の記憶など遙か彼方のドーハーに沈んだMig29の翡翠イロの波間に彼女はカッターナイフを刺し入れたけれど、その髪は生糸のように解れ永遠のサイレンの理由を知った時、気が触れてしまうのは――

水鏡が砕け散った時、漂う灰色のヴェールが雷鳴に引き裂かれる。垣間見えた神の淫らな脾臓は蒼白なまま傍聴席で絞首刑に処されたが抗酒剤が溶ける午後に(かつてカステラだった人々)の微笑が拡がるが、ブルーシートは偏西風に揺らいでいるだけだった。

木片が浮遊する朝焼け、鳴らないアラームに半壊したセドリックはクラッチを切るはずも無く、地下鉄は絶望を嘯くが彼女のチューインガムは4を切り刻んで、プールサイドの鬼門季節はずれのブルーベリーフレーバーに藍色のシャツが沈む時、救難信号が不協和音を轟かせる。

金貨が錆びゆく時、私の淫らな青痣が心肺に浸透する。48F暗い窓際のメロンソーダが死の色彩を刻むとき、彼方の鴎が油田に溺れたことをバグダッド・カフェのコーヒーに似ているねと君は言ったような気がしたけれど、此処にあるのは朽ち果てたゲームセンターの狂い咲く残像だけだった。

 

f:id:haiirosan:20170219075521j:plain