haiirosan's diary

散文とか

首の無い客引き、敗血に浸された2月

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蠱惑の帳に火が放たれし時、影踏み遊びの無邪気は脆くも斬り捨てられる。錆びついた諸刃、有刺鉄線の夕暮れに貴女は切創無く、夜を迎えられるのか?
彼方の星が世界を傍観する。人々は今日も自ら心臓を吐きだし、灰色の刻を紅く染める――
街は虚ろさを漂わせて、路上の吸い殻に火を放つ。Anonymousの群衆、首の無い客引、透明な血に浸された2月。出血多量に気づかずに僕らはスクランブル交差点で救急車に轢かれる。サイレン亦サイレン__遠い夏の日、暁光の花火くすんで、プールサイドが炭化する。
(飛び込む)だけしか選択肢の無いゲーム中盤__どうしても「死」を忌避しようとすることに終始するあなたは惨めさと醜さを次第に湛えて、私は鋼鉄の朝が地下鉄を過ぎ去る刹那に朱が針時計を染める場面をぼんやりと思い浮かべていた。
不眠症の夢は太陽の嘲笑に焦がされ、終わらない黒煙がネオンライトの世界を抱擁した。
抽象的な蝶、アスファルトのパレットに零れるカケラ、雨が罪の痕を拭い去る。
――残された遺失物に寄り添う、冷たいだけの左手。朽ち果てゆくその墓標に、手向けられる花はいつも造花だ。

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――遠い夏の日、暁光の花火くすんで、プールサイドが炭化する。
(飛び込む)だけしか選択肢の無いゲーム中盤__どうしても「死」を忌避しようとすることに終始するあなたは惨めさと醜さを次第に湛えて、私は鋼鉄の朝が地下鉄を過ぎ去る刹那に朱が針時計を染める場面をぼんやりと思い浮かべていた。