haiirosan's diary

散文とか

無表情のクリームソーダ

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終幕の風景はいつも穏やかだ。清廉な蒼を切り裂く朧な光明、眩し過ぎる収斂に、時計の針すら呼吸を止めて__
コンタクトレンズが剥がれるように、水中に溺れるように、悪い夢が醒めるように――ぼやけてゆく世界
街も人も冷凍されてしまうけれど、その開いた瞳孔だけは刹那に澄み切っていた。

無表情のクリームソーダを溶かしたのは細波と太陽の刻む3つの音だった。
砂浜に埋まる赤子の手、空っぽの乳母車に詰められた注射器、笑うのは海岸線の白いワンピースだけ。
__誰かの心臓が理由無き銃弾に貫かれる、白線で別たれしサンダルを茜色に染めるのは誰の――

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哀色がアスファルトに反芻する
枯れたアイリス 三月
砕けたアスピリン 水泳
壊れたアノニマスと曝かれた__
漆黒の帳は血のイロ
雨に揺れる花片は何色?

――イロを想起するモノクロ・ストリップ、踊り子の靴擦れに嗤う聴衆、涙はドロップ味、君は溺れるトマトソーダの猟奇殺人痕、
黄色は狂気、青色は静寂、赤色は__
空白ばかりのジャポニカ
静脈血で黒ずんだ紅ノート
折れたペン
折れたネック
割れたスクリーン
私は「何」だったのだろう?
私は「