haiirosan's diary

散文とか

8mmフィルムから零れたアイスピック

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有刺鉄線が藍色を纏う時、硝子の靴は粉々に砕け散った。
太陽の亡霊、
砂漠の亡骸、
薔薇の亡命
少女が時計の針を忘却していたのは「狂っていたから」だと綴られる
39面の死亡記事が切り裂かれた時、硝子の破片は行方不明を装い__
8mmフィルムから零れたアイスピック、穴の空いた夕刻に誰の影も消えて、唯琥珀の空白と着色料が漂流している。
何処に?何処へ?疑問符が四分音符に添付され、6弦は静かに失踪していった。
0月、モノトーンの変調に
私は呼吸を喪う――
704号室
赤濡れたバスルーム
張り巡らされた電線、
加速するRe.に沈黙だけが
反芻するラストシーン
可憐な花束枯れて、其処には__
水彩画の瓦解と静寂
夕暮の蒼は刹那に溶けて
線上に迷宮、出口は何処にも無い
水平線の彼方、視えない水
渇ききった蜜柑だけが変色を__

霞む虹色のフィルター、網膜硝子が細分化する夕景と水槽の記憶も忘れて__
奇数が貴女を刻む、右肺の違和感、午前3時の乖離、夢、また夢、
__穴の空いた(はず)の濡障子に、首の無い影が艶やかに揺れる。