haiirosan's diary

散文とか

水色のサーカス

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無呼吸症候群の朝日
ソーダ水の死
唸る柱時計に少女は
視えない檻と絶望を凝視する。
10階(以降)の世界で
誰が笑っているのか?
行き止まりの十字路、
線路上にて見つからない手首と血痕――
暗い雨朝は、未だにアスピリンを咀嚼しているというのに__
翠雨の祈りと氷結した造花
十字架を庇う蝙蝠傘
釘の錆を愛でる少女
グラスが存在しない日曜日に
誰が葡萄酒を誤飲するのか?
ロゼの悲劇、結末の無い舞台
暗幕に火を放つ君は
黒煙が色彩を塗り潰すまで
血の涙を流し続けて――
泡沫の放浪はいつか終わりを告げる。彼方の蒼が沈黙の音階をなぞる時、ひび割れたレコードは円転を止めるから。
遠い街、遠いサイレン。
綺麗なままの空虚を切り裂くのは__
水色のサーカスに世界は憎しみを滴らせる。雨、雨酔に救済を求めていた彼らにとって、青い炎揺らめくショーは大罪でしかなかった。
田園に転がる道化師、弾切れのベレッタ、誤った選択の果てにあるのは__
浸水に犯された舞踏会に透明が踊る。淡い死の刻印にシャンパンが息絶え、顔の無いウェイターがほくそ笑む。貴女の表情に翳りが浮游した刹那、暗いヒールを切り裂くケーキナイフの正体は――