haiirosan's diary

散文とか

ピアノ線と明晰夢

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青酸がマシュマロに熔けた。
3月は虚ろな旋律が、混濁した誰かの意識に紛れ込んで嗤う。
かくれんぼに興ずる蒼い鳥
冷却水に溺れた熱病
砂漠渦巻く幻想に、いつか灰色の地平線が淫らに茜色に染まってゆくから__
ピアノ線と轢断された夕景、酩酊に臥した太陽は納棺され、全ては虚ろな影へと変換される。
物語の終焉、主人公不在の沈黙――
『異邦人』は紺碧の海に投げ込まれた花束と拳銃の結末。彼と彼女の罪は切断したマネキンを火葬することで抹消されたのか?
切断された夕刻に、私は心臓を置き忘れた。変容するア_カア_オ
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水色の美術室が空中分解して対称性非対称性を傍観するから、遺失物は誰も引き取りに来ない。
夕景は刹那に消えてゆく、線路とプラットホームの隙間から視えて(しまった)蒼白な掌と手招き、彼方で首を無くした海岸線の少女みたいに
空白の青、墜落するだけの鳥達
明晰夢を切り裂いた羽根の行方
暗い朝を轢断する車輪の1節
脚の無い椅子 円卓上の死体
淡いドーナツが珈琲に溶けて
動脈血のジャムが凝固する――