haiirosan's diary

散文とか

Sand Graffiti

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蝙蝠の円卓に夕暮れは瓦解する
銀杯に這い回る偽りの夜
呼吸すら忘れて
色彩すら渇いて
飛び去る闇夜 墜落する光
血が滴るウエディング・ドレス
火葬場には少女たちの笑みしかない
灰の偽装と添えられた造花
枯葉の調べ
百年の孤独
空白の歴史
独り、
――正体を喪うだけの街角
消失点の叫びが轟く時
あまりにも静かな炎舞は
貴女の脾臓を喰らい尽くす
黒煉、楷書体への糾弾
キャンバスの悲劇はいつも茜色
取り残された微かな感情は__

砂が描く雨にみとれていた
カーテンの境界線を切り裂くのはいつも
透き通ったビーカーの矛先だから
左手から零れた錠剤も
砂塵へと回帰した刹那に
貴女は錆びたナイフを突きつける
黒猫と葡萄酒
麻の祈りと星空
円転する円転する、廻るだけ
唯、輪廻の果てにあったのは
熔けきらないアイスキャンディだったから。