haiirosan's diary

散文とか

空白の記事

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空白の記事に唯、水色のソーダが滲んでゆく
文字化けを何よりも怖れる人々は
永遠に真相に辿り着くことはなく――
44面に刻まれた君のモノクロ
色彩に深く潜られた轆轤
廻る廻る廻る、桃色の太鼓
彼女の首より彼の首の方が切り口は綺麗だ
彼の静脈血より彼女の動脈血の方が綺麗だ
花瓶に埋められたクリームソーダの悲劇
花片散る前兆は空が紅く染まるから
バニラスカイ
痩せこけた藍色
海岸線、凪ぐ潮騒
慰みの砂遊びは、
背中に迫る匿名の母親の悪意と
煌びやかな待ち針が私を愛撫するから
彼方のパトカーは
傍観者のまま
にこやかだ
にこやかなまま
にこやかなままなんだ
教えて欲しかった、本当のことを。
彼らは私を救ってくれなかった
私は死んだ方が救われると思った
神はいない
奴らが俺を嘲笑っているのは判るから
神はいなかった
新宿三丁目の路地裏
酒瓶の意味
酒瓶を砕けば殺人の
酒瓶を捧げれば傍観者
酒瓶を拒絶すれば私の居場所は
出口
出口の無い迷路
正体の無い怪物
終幕の無い物語
語り部はいつも、真実を映しだす「青」を手にしているというのに__