haiirosan's diary

散文とか

薄荷雨の花束、死者と讃美歌

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――籠女は茜雨に草履をなくし、手を伸ばせば届く琥珀の光に触れず

「君の首を切り落とす為のピアノ線は、蒼に隠れていたはずなのに」

そう、死者の花束はいつも山茶花だった
雨音揺らめく追憶、彼岸花の嫉妬
黒い葬列が赤く変容する時
炭化した朝焼けに手錠煌めく
静かなサイレン、シャッターの音色
君が裸足の理由はないから
君に硝子が刺さる理由は――

「薄荷飴

うつろう刹那

夏忘れ

サンダル捨てた

歩道の酔いどれ」

31モーラ、ザザ降り雨、群青、右の耳鳴りが止まない

風雨に切り刻まれながら、プールサイドでシャボン玉を吹かす君

風をあつめて、夕刻に「死」だけを内包した街

彼岸花にそっと手を伸ばす鴎が飛ぶことを止めたのは

彼岸花にそっと触れて狂った画家の左目に映るのは

指先に纏わりつく、黄泉の黒蜘蛛の冤罪だから

搦め取られた太陽 呼吸をすること、光を――

暗色に浸された朧空、影絵に紛れた少女のシタイを愛撫していたのは私では、ワタシではないと主張したから彼女の線香花火は枯れずに僕の惨めなノートに儚くそっと挟まれたままだった、そして未来は今……

 絶望の 灯火揺れて 夜を往く 浅き夢見し 縊死せよ乙女