haiirosan's diary

散文とか

「存在しない無意識下と毒蛇のポートレート」

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海月のような太陽の揺らぎ
麻痺した空は目眩のままに夢魔を貪り――
未だ訪れぬ澄んだ蒼の憧憬、
水面に沈む暁が全てを焼き尽くす時、
焼死体の眠りは何処までも凍えに浸されていた。
白昼の夢の意識は、海草のように揺らぐ電線みたいで、暗い影が夕濁した深海でずっと溺れている。
墓場のカーニバルは安堵に溺れた生者
それを躊躇いもなく茜色の闇に取り込んでゆく
――白骨化した心臓は瞬く間に動きをやめて
黄昏の波が引いてゆく刹那に遺されたのは
一滴の静脈血だった。

「存在しない無意識下と毒蛇のポートレート

敗血に浸された死者の絵画に
緩やかな蒼が滲んでゆく
散りばめられた、抽象性に砕けった白磁の硝子片。痛みと救いを求めて拾い集める左手は、
彼方の真相によって、白日の下に曝されてしまう
クリームソーダの残影は、逢魔ヶ紅と蒼白によって火を放たれた。
翠緑は焼け跡の行方不明者となり、純粋さに充ちていた呼吸も、あとかたも無く消えてしまった。