haiirosan's diary

散文とか

石化面と心理的致死

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誰かの脾臓が曇天に浮游して、機内食は瞬く間に菜食主義者心理的致死をもたらした。
分解される倫理に慈悲はなく、ただ見えない乱気流が白骨化してゆく彼らを抱擁するだけ。
輪廻の運命、存在しない捜索隊と祈り
網膜に暗幕を降ろす、藍色の夕刻。
石化面の生者
微笑を浮かべる死者
冷たい手、握られた拳銃
幽かに滲むインクのような血すら
描く言葉も情景も無く……
唯、此処には葬列のような沈黙が、永遠と漂っ て
翡翠色の煉獄は、暗翳と瑞々しさを湛えたまま、
彼らの意識を、
思考を、
ことばをうばってゆく
「         」
「         」
――やがて、右眼から剥離したコンタクトレンズ
二重の視界に映るのは
無残に炭化してゆく世界だった……
焼け落ちた時計__
忘却と夕刻
黄昏のネガを雨雲が塗りつぶす。
未だに訪れぬ太陽の夜明け、
あまりにも澄んだ水色が網膜に揺らぐ声?
――水たまりと静寂を切り裂くサイレンの旋律に、暗い表情と殺意が炙りだされた。