haiirosan's diary

散文とか

枯葉の悲鳴、永遠の残響

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茜切り刻み、青の千鳥足が7Fに導かれ糖度に犯され赤蟻の水死体が彼方に浮かぶ。
平坦な煉瓦をいつまでも糾弾する議会に、首を残した者は誰一人としておらず、唯、その可憐な切り口から血と砂糖を流しつづけていた。
蒼白な森を永遠と彷徨うのは、きっと無垢な足跡だけだということに、誰も気づくことなく。
踏みしめるテノール……あまりにも早過ぎた、幼き喉仏を切り裂くサキソフォーン
震える揺りかご、乳母車の空白
鼠、注射針__箱舟に押し込まれし累累たる不明瞭の死体に射し込む太陽が、茜の痕跡を暴きだす。例えば血に飢えたバタフライナイフ、例えば誰かのベッドの砕け散った染み、
例えばグラスワインと飛蚊症詐病――
――差し向けられた水差しの悪意と着色料
「貴女が埋めたはずの、針時計はもう未来を射すことはないから」
窓の外、転落したままのセーラー服が、あまりにも穏やかな通続音を這い回らせた。
咲かない花の夢と、青い春を塗り潰した絶望の影
広がりゆく地雷原、夜明けは極彩色を抱えて、燃えさかる世界に届かない祈りを捧げる。
――骸転がる暁に、かつての温もりはあまりにも冷熱を帯びていて。踏みしめた枯葉の悲鳴すら、永遠の残響と共に鳴り響いていた。

#詩 #散文